野放しの代償— 大統領狙撃事件と拉致、そして現在 —

2017年3月29日。朴正煕大統領狙撃事件から日本人拉致事件の本格化、さらに現在の朝鮮半島情勢へと連なる北朝鮮の工作史を検証する。拉致・テロ・学術機関浸透の実態を通じ、日本が直面する安全保障上の脅威を問う論考。

2017-03-29
以下は前章の続きである。
野放しの代償
大統領狙撃事件から3年後の昭和52年には、北朝鮮による日本人拉致事件も本格化した。
衝撃的なのは、拉致を実行したとされる朝鮮労働党直轄の在日秘密工作組織「洛東江」が狙撃事件に関与していたという元工作員の告白だ。
政府認定拉致被害者で、神戸市のラーメン店従業員、田中実さん(拉致当時28)について、警察庁は田中さんが働いていたラーメン店店主だった在日朝鮮人により昭和53年に拉致されたとしている。
自ら「洛東江」メンバーだったと告白した張龍雲氏(故人)の著書『朝鮮総連工作員』(平成11年出版)によれば、元ラーメン店店主は「洛東江」メンバーで、田中さん拉致には「洛東江」最高幹部も関与。
この最高幹部は、朴大統領狙撃事件との関わりをほのめかしていたという。
張氏は、最高幹部らが文元死刑囚に「手引きをしたか、指示を与えた」と断言し、文元死刑囚が事件の指示役と供述した「総連支部政治部長」は、この最高幹部だと推測している。
『新潮45』今年3月号によれば、この准教授は最高幹部の娘婿だという。
最高幹部の闇は底知れない。
本紙は昨年5月、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射への独自制裁として、核ミサイル開発への協力が指摘されてきた総連幹部や在日本朝鮮人科学技術協会構成員に日本政府が科している北朝鮮渡航後の再入国禁止措置の対象に、京都大学原子炉実験所の男性准教授が含まれていると報じた。
『新潮45』今年3月号によれば、この准教授は最高幹部の娘婿だという。
最高幹部は平成15年、田中実さんを拉致したとして兵庫県警に刑事告発されたが、告発は棚ざらしになったままだ。
文元死刑囚は、日本で盗んだ拳銃で朴大統領を狙撃した理由を、日韓離反のためだと供述した。
韓国を自由主義陣営から孤立させ赤化するという北朝鮮の戦略通りだ。
そしていま、韓国の親北勢力が慰安婦問題を利用して反日世論を煽った結果、日本の駐韓大使は一時帰国したままで帰任のめども立っていない。
冷戦の真っ最中に朴大統領狙撃事件を起こした北朝鮮のもくろみが着々と現実化しつつある。
冷戦は終わっていない。
その緊張は極限まで高まり、半島有事の可能性も指摘されている。
日本はその脅威に備えているだろうか。
大阪正論室長 小島新一

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