「たいした違いはありません」という専門家の常識 — 豊洲騒動という空騒ぎ —
2017年3月28日。築地市場の豊洲移転を巡る8か月に及ぶ騒動を、専門家の見解から冷静に検証する巻頭コラムの紹介。科学的合理性を無視した政治的パフォーマンスの危うさを指摘する。
2017-03-28
以下は続く巻頭コラムの冒頭の部分からである。
この論文もまた、これぞ正論の見本である。
おバカなくせに野心満々の小池都知事。
バ力げた空騒ぎが8ヶ月も続いている。
築地市場の豊洲移転問題だ。
小池百合子が都知事に就いたのは昨年の八月。
すでに六干億円を投じて施設はほぼ完成し、移転を始めた一部の業者もいる。
なのに、豊洲の安全性がどうのと言い出した。
ほどなく、盛り土が盛られていない、コンクリートではアブナイーこれが騒動の発端だ。
小欄は知人の専門家に訊いてみた。
彼は東大建築学科卒。
永年、技術者として日本はもとより海外の土木建築プロジェクトを多く手がけてきた。
プロ中のプロで、大手土木建築会社のトップの座に就いている。
「盛り土とコンクリートで、汚染を遮断するのに差異はありますか」。
「いや、たいした違いはありません。なんて大騒ぎしているのか、私にはさっぱりわかりません」。
豊洲の土地は購入の時点で土壌汚染が取り沙汰された。
ために厖大な費用をかけて、表土を深さ四メートル余に及んで除去して新しく入れ替え、その上にコンクリートを敷いて建物を設置した。
その問、二度にわたって専門家会議と技術者会議を開き、最終的な検討を重ねている。
元都知事・石原慎太郎は言った。
「現代の科学的技術をもってすれば安全性は担保できる、というから豊洲に決めた」。
だからこそ着工したはずだ。
小池が後任の都知事として、それでも「都民は不安だ」と言うなら、何をおいても真っ先にやるべきことは、直ちに新たな専門家や技術者を選任・糾合し、全力を挙げて安全性の検証を迅速に実施することではないか。
小池はそれをしない。
やれ砒素が出た、やれベンゼンが出た、シアンが出たと都民の不安を掻き立てるだけ。
もともと土壌汚染は承知のうえの移転だ。
地中を探れば、その種の汚染が出てくるのは当然だ。
それを遮断できると専門家や技術者が検討・判断したからこその移転だ。
徒に都民の不安を煽ったあげく、やれ盛り土を欠いた責任者は誰か、やれ土地買収の際、汚染に関する瑕疵担保責任を放棄した責任者は誰か、あげく豊洲移転の決定者は誰か……犯人探しを始めた。
真っ先にやるべきことの優先順位を取り違え、しかも得々として恥じない。
この稿続く。