論点すり替えが招いた国際誤認— 慰安婦問題を国際化させた構造的要因 —
強制連行の証拠不在、用語の曖昧化、声明のトーンダウンと論点転換。産経新聞記事を基に、日弁連の声明史と用語運用が国際認識に与えた影響を検証し、法曹の責任を問う。
2017-04-07
慰安婦がここまで国際問題化し、「日本は性奴隷を用いた野蛮な国」と認知されるに至った原因の一つは、
以下は前章の続きである。
論点すり替え。
政府や学者らの調査で朝鮮半島での「強制連行」を証拠立てる文書は見つかっていない。
“強制性”を認めた「河野談話」(5年)にも強制連行という用語はない。
当時の官房長官、河野洋平(80)が談話発表時の記者会見で「(強制連行は)事実だ」と述べたが、根拠は不明のままだ。
学者らからは「性的奴隷」という表現の定義や正確性にも疑問が呈されている。
慰安婦問題でキャンペーンを張ってきた朝日新聞は26年、「朝鮮で女性を強制連行した」とする吉田清治(12年死去)の虚偽証言に基づく記事を取り消し、「慰安婦の実態は不明な点が多い」と認めた。
こうした動きに連動するように、日弁連の声明や宣言も質的に変化を見せる。
22年の日弁連と大韓弁護士協会の共同宣言や提言では、慰安婦問題を「軍の直接的あるいは間接的な関与のもとに、女性に対し組織的かつ継続的な性的行為の強制を行ったこと」と定義。
*日弁連が大韓弁護士協会などと共同宣言や提言を行っていたなどという事実だけでも、慧眼の士の読者たちは私の論説の正しさを再認識するだろう。
同時に本当にぞっとする話なのである。*
27年の報告書では「募集・移送・管理などがいかなる様態であれ、自由が拘束された状態の下で、性的性質を有する行為を強制されていたことだ」とした。
「強制連行」「性的奴隷」と断定した過去の声明に比ベトーンダウンし、論点もすり替えられている。
法律家の良心は、
「何を証拠に『強制連行』と断定したのか。
“証拠に基づいた事実の追究”のプロであるべき弁護士が、証拠がない、あるいは不確かな証拠に基づいた会長声明を出したことは大きな問題だ」。
日本の伝統と文化を守る「創の会」世話人で弁護士の堀内恭彦(51)は「客観的事実はあやふやでも、日本の責任追及と賠償実現ができればそれで良いという風潮が、当時の日弁連内にあったのではないか」と指摘する。
慰安婦がここまで国際問題化し、「日本は性奴隷を用いた野蛮な国」と認知されるに至った原因の一つは、間違いなく日弁連の活動にある。
「弁護士の良心があるなら、誤りが判明した声明は訂正や見直し、取り消しを検討すべきだ」。
堀内はそう提案している。
(敬称略)