中国の核実験と放射線パニック――日本原発事故で露呈した情報統制国家の実像
2011年の福島原発事故を契機に、中国国内で発生した大規模な放射線パニックと買い占め騒動を検証する論考。新疆ウイグル自治区で繰り返された核実験の歴史と、中国政府の情報統制が生み出す社会的混乱の構造を明らかにする。
2016-03-10
中国は96年まで新疆ウイグル自治区で45回もの核実験が行われており、今でも春になると
以下は2011年4月2日に発信した記事である。
先を争って日本から脱出する外国人に、買い占められるミネラルウォーター。原発事故はあちこちでパニックを引き起こしているが、どうしたことか日本人以上に大騒ぎしたのがお隣の中国だった。日本を脱出する外国人で成田空港がごった返したのは、つい最近のことである。
「フランス人は、原発事故が明らかになってからこれまでに7000人が出国したとみられています。また、中国人も凄かった。空港には一時、数千人が押しかけていました」(社会部記者)
中国へは普段2万~3万円ほどのチケット代なのに、片道約13万円を払ってでも帰ろうとする者も。
「中国の場合、留学生に大使館から電話がかかってくるのです。強制ではないが、日本から逃げたほうがいいと。日本にいる10分の1ぐらいの留学生がすでに帰ったでしょう。全体では数万人にのぼるはず」(同)。
とにかく日本にいては危ないというわけか、3月26日には千葉県から長崎に逃げだした不法滞在の中国人男性(48)が,“強制送還してほしい”と警察に出頭する事件も起きている。
ところが、専門家によれば、中国に帰ったところで浴びる放射線が減るわけではない。
醤油も消えた
「もともと中国は日本より自然放射線量が高いし、香港に近い陽江という所では日本の8倍の放射線を浴びるのです。また、中国は96年まで新疆ウイグル自治区で45回もの核実験が行われており、今でも春になると放射性物質のセシウムが風に乗って沿岸部に運ばれてきます」(放射線の研究者)
だが、かの国の人たちはいったん火がつくともう止まらない。むしろ現地では日本よりヒステリックな事態になっているのだ。
中国に詳しいコラムニストの新田環氏が言う。
「日本から放射性物質が飛んでくるかも知れないという噂が流れて3月16日ごろから浙江省温州市で食塩の買占め騒動が起きたのです。食塩に含まれるヨウ素が放射能に効果があるというデマが流れたせいですが、浙江省では1日に4000トンもの食塩が売れたとか」
スーパーには塩を求める客が殺到し、あちこちからかき集めて1人で6・5トンも買った人も。さらに塩がなくなると、塩分を含んでいるからと棚から醤油が消えてしまった。
評論家の宮崎正弘氏も言うのだ。
「こうなってしまうのは中国政府が情報統制して正確な情報を公開しないからです。だから、人がもたらす情報を信じるしかない。それがデマであってもです」
この騒動、いったん収束したが、今度は食塩を返すから金を返してくれと騒ぎになっているとか。日本の原発事故などそっちのけで。
題字以外の黒字強調は芥川
*日本のテレビが、この20年超、やり続けて来た事は、真似てはいけないアジアの indecency を流し続けて来たのだと、私が言い続けてきている事が、その通りであることが、分かるのではないか。