産経が記録した原発事故の真実――阿比留哲也と石平の論考が示すもの

2016年3月、産経新聞に掲載された阿比留哲也記者と石平氏の記事を通じ、福島第一原発事故当時の官邸対応の実像を検証する論考。班目春樹元原子力安全委員長の証言漫画を軸に、政治の無責任と自己正当化を厳しく浮き彫りにする。

2016-03-10
今日の紙面には、阿比留記者と石平さんのとても良い記事があると言って、持ってきてくれた。
私の親友が一昨年8月に朝日新聞の実態を知って以来、長年の購読を止め、産経新聞に切り替えた経緯は言及して来たとおりである。
今日の紙面には、阿比留記者と石平さんのとても良い記事があると言って、持ってきてくれた。
以下の阿比留さんの記事は当時この人物の言動について厳しく批判した私の論説の正しさを完璧に証明していた。
題字以外の文中強調は私。
原発事故、班目マンガの衝撃
一読、ここまで赤裸々に実態を明かしていいのかと衝撃を受けた。原子力安全委員長として平成23年3月11日の東電福島第1原発事故対応にかかわった班目春樹氏が、インターネット上で公開している自作マンガのことである。事故当時の菅直人首相をはじめ官邸政治家らの無責任で場当たり的な言動が、班目氏の目に映ったまま実に率直に描かれている。
顔のない人物
マンガは4コマの連作で、登場人物がどの政治家なのかは似顔絵でおおよそ判別できる。だが、その中で顔が描かれていない人物が1人いる。
「当時、官邸にいた政治家たちの中で1人だけ拒絶反応がある。一番会いたくない人であり、たぶんトラウマになっているようで似顔絵を描けません」
班目氏に聞くとこんな心境を明かし「マンガはこっそりと出しているもので、私の鬱憤のはけ口のようなものです」と語った。
記憶が飛んでいる部分もあるので事実だと主張するつもりはないとのことだが、読み進めるとこの顔のない人物の立ち居振る舞いの異様さ、危うさが実感できる。
たとえば事故発生翌日の12日朝、第1原発の視察に同行した際には、炉心溶融(メルトダウン)への懸念を伝えようとする班目氏に対し、顔のない人物が「質問にだけ答えろ」と遮り、原発各号機の出力などやたらと細かいことばかり質問する場面が出てくる。
また、この人物が緊急時にもかかわらず、「ところで東工大にも専門家はいるか」と自身の出身校の学閥にこだわったことと合わせて「そんなこと知ってもしようがないだろ!」
「なんだ!この質問は!」などといらだつ班目氏の「心の声」も書き込まれている。
12日午後、官邸内で開かれた会議で、1号機への海水注入が協議されたエピソードも出てくる。
これに関しては、産経新聞が以前、菅首相が「海水を入れると再臨界するという話があるじゃないか」と怒鳴っていたと書いたところ、菅氏は「あり得ない話だ」と否定した。だが班目氏のマンガには顔のない人物がこう怒鳴る姿が描写されている。
「再臨界の可能性があるのに海水注入なんかできるか!」
班目氏がある官邸政治家に「総理はすぐ怒鳴り散らしますね」と言ったところ、この政治家が別の首相補佐官を示してこう述べるシーンも印象的だ。
「あの人なんか怒鳴られ役として補佐官やっているくらいだから」
ひどい正当化
さらに、15日未明に菅首相が東電の清水正孝社長(当時)を官邸に呼んで、福島第1原発からの全面撤退を止めたという【都市伝説】も明確に否定している。
官邸政治家らが緊張の面持ちで見守る中、清水氏が「撤退などしません」とあっさり述べる姿を描いた作品のタイトルでは、こう強調されている。
「総理が撤退を止めたということは絶対にありません」
この後、菅首相が東電本店に乗り込んで「撤退などしたら東電はつぶれるぞ」とぶった大演説に対しては、班目氏は手厳しく次のように指摘している。
「怒りをぶつければ人は動くと思ってる人を総理にしちやダメでしたね。聞いた者の心を傷つけ、まったく共感を呼ばない史上最悪の演説だった」
マンガを通じ、当時の官邸の右往左往ぶりとその後の自己正当化・美化のありようを改めて思い出した。
(論説委員兼政治部編集委員)

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