相手が喜ぶお土産を持たせる…学者なら北京大学や清華大学の役職とか、右翼活動家なら金とか…たいていの男は美人も好きですよ
以下は発売中の月刊誌WiLLに、「石原さんを紹介して」と中国大使館員、と題して掲載されている大高美貴さんの論文からである。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
見出し以外の文中強調は私。
訪中したら、”その人が喜ぶお土産”を持たせますよー
相手が喜ぶお土産
「大高さん、石原慎太郎さんにコネがあれば紹介していただきたいんですけど」
2000年代、私が中国大使館員のS氏とシルクロードについて雑談していた時、ふと思いついたようにS氏が言った。
当時石原さんは東京都知事で飛ぶ鳥を落とす勢い、私のような駆け出しのジャーナリストからしてみれば雲の上の人だった。
「コネなんかあるわけないじゃないですか!でも、どうして石原さんなんですか?」
S氏
「石原さんを中国にお招きしたいんです」
大高
「なぜ?」
S氏
「対中強硬派の代表格のような人こそ大事じゃありませんか。一度中国に来ていただければ中国が大好きになるはずです」
大高
「そんなもんですかね」
S氏
「日本のサヨクは放っておいても大丈夫です。マスコミ関係者も随分、中国に招待しましたよ。学者もね」
大高
「北京ダックをたらふく食べて、万里の長城でも観光したら中国大好きになるんですか?」
S氏
「まさか。(君はまだ青い”といった表情で)その人が喜ぶお土産を持たせるに決まっているじゃないですか。学者なら北京大学や清華大学の役職とか、右翼活動家なら金とか……たいていの男は美人も好きですよ」
「中国のラーメンより、日本のラーメンの方が百倍おいしい。食は日本に限ります」と言って銀座の雑踏に消えていったS氏とは、その後会っていない。
が、この時の何気ない会話は妙に心にひっかかっていた。
江沢民の号令で中国全土につくられた抗日施設や反日ドラマ……多くの世代が反日教育の洗脳を受けて育っている。
2007年には中国海軍高官がアメリカのキーティング太平洋軍司令官に「中国とアメリカで太平洋を二分しよう」という分割案を提示し、中国の露骨な野心が日を追うごとに顕著になっていた。
90年代から私は五独(チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、上海)問題に関心を持ち、彼の地を取材していたこともあって、”次は日本かもしれない。魔の手はすぐそこまで伸びている”と講演会の中でも時折、前述した石原さん招待エピソードに触れ、”これが中国の工作活動の一端なのだ”と力説してきた。
ウイグル人が現在進行形で弾圧、命の危険にさらされているというのに、対中非難決議案ですら中国の顔色を窺ってごまかしの声明文で事なきを得ようとした、一部の政治家や役人たち、中国に不都合な真実は報道しないマスコミの姿勢も、S氏が言うお土産を握らされていたのなら、実につじつまが合う。
こうしてキーパーソンの日本人が中国の”魔の手”に堕ちてしまった中、石原慎太郎氏は最後まで日本の国益を正々堂々と主張されていた。
2020年の李登輝元台湾総統に続き、石原元都知事の訃報は中国に弾圧されている国々や、日本をまともな国にしたいと願う日本人にとっては希望の星が消えてしまったような焦燥感をもたらしたが、故人の志の灯を絶やさず、希望を捨てずに生きてゆくことこそ最大のレクイエムになろう。
この稿続く。