15兆円を潰した一行 ― 日本の長期デフレはこうして始まった
宮澤喜一が示した15兆円規模の公的資金投入を、朝日新聞社の論調が封じ、8,000億円に矮小化した判断が、日本の長期デフレの起点となった。現場体験と具体例から、その歴史的帰結を描く。
2016-03-17
宮澤喜一が、通常の景気循環とは違う、15兆円前後の公的資金を投入して解決しなければならない問題だと、自民党が軽井沢で行った研修会で発言した時、銀行、不動産、建築などの業界が勝手にやったことに、国民の血税を投入するとは何事かと、当時、経済部記者だった山田厚史=朝日新聞社が音頭を取って、これを潰し、たった8,000億円の資金投入で、お茶を濁させた。
これが、今、世界中の国が、蛇蝎の如くに忌み嫌う、日本の長期デフレの始まりであることは、今や、歴史的事実である。
この事を最初に指摘したのも、私だったが、私は、人生の経緯で、不動産業界で生計を立てていたから、明瞭に気付いていたのである。
我が母校で親友だった大器晩成型の男は、全校で一番にも成った。
彼は、東北一の銀行で、末は、頭取のコースに居た。
住友や三菱など、私が取引していた銀行が、どうしてもゴールインできなかった、或る同級生にして親友の男が、外国で自宅を購入する件について、何とか融資が出来ないかと、私は相談した。
仕方がないから、これも一つの文化交流だと思って考えてくれないかとまで、私は言った。
彼は、当時、外国に居て、住んでいる国で自宅の購入を決定し、契約したが、必要資金がない。
何とかしてくれないかと、依頼を受けたのである。
同級生にして親友の事だったから、二つ返事で了解したが、当時、大阪で獅子奮迅の働きをしていた私でも、どうにもならない案件だった。
困った私は、非常な迷惑になる事を承知の上で、一番の親友だった彼に電話を入れた。
彼は、全く音信不通だった私からの電話に当惑しつつ、日本の銀行では殆ど無理な案件である事も、瞬時に理解していた。
それでも、彼は、とことん頑張ってくれた。
それが、親友というものだった。
私は、今、ここで言う。
Sよ、突然の無作法な依頼を、許容してくれただけでなく、とことん検討してくれた君の好意に、私は、今も、何の礼も、何の詫びもしていない。
もし、何かの折に、これを読んでくれる事があれば、ここで、心から謝り、そして、心から、有難うと言いたい。