無名の解説委員が国家の命運を語るという倒錯
電力自由化を語るNHK解説委員たちは、国民の信託も受けず、選挙も経ず、長期デフレの痛みからも無縁だった存在である。その彼らが国家のエネルギー政策を語る構図の異常性と、日本社会が見過ごしてきた責任を鋭く告発する論考。
2016-03-23
一昨夜、12時過ぎにNHKが放映していたのは電力自由化についてNHKの解説委員5人が登場して話す番組だった。
ここに登場した解説委員たちを知っている日本国民は、彼等の親類縁者を除けば誰一人としていないだろう。
勿論、彼等は該当する問題…国家の命運や盛衰を決定するエネルギー源についての問題について国民に信を問うて選挙を勝ち抜いて来たような政治家たちでは全くない。
それどころかNHKという日本有数に安定した高給と社会保障と身分保障が完備された会社でサラリーマンを続けて来た人間たちである。
朝日等の円高容認論が超円高をもたらし、今、世界中の国が蛇蝎の如くに忌み嫌う日本型の長期デフレの最中にも、彼等が職を失ったり、給料が下がったりした事は決してなかった人間たちである。
日本の長期デフレが、6人に1人の子供が年収180万円以下の貧困世帯に育ち、食事や義務教育に通うことすらスムーズではないという現実が出来ることを座視して来た人間たちである。