北欧が成功した理由 ― 基盤電源なき電力自由化の幻想
電力自由化で電気料金が下がるという「バラ色の物語」を検証し、北欧の成功が水力・原子力という安定した基盤電源に支えられていた事実を指摘。英国の料金高騰と燃料貧困の実例を通じ、基盤なき自由化の危険性を明らかにする。
2016-03-24
以下は前章の続きである。
このドラマの企画趣旨は、電力自由化がされれば新規発電事業者が増えて、競争が促進され、再生可能エネルギー発電の事業者も増えて、電気料金は安くなり、原子力依存も大幅に減るだろうというバラ色のものです。
あとでもう少し詳しく見ますが、簡単に検証してみましょう。
まず、安価になるということですが、なりません。
たしかに北欧では安価になりましたが、大部分の自由化した国では電気料金は高値に貼りついたままです。
英国などは2009年には、1998年の分離以前の実に2倍にまで電気料金が跳ね上がり、「燃料貧困層」と呼ばれる収入の10%を燃料代にする階層まで登場し、社会問題となったほどです。
では北欧がなぜ成功したのかといえば、スウェーデンやノルウェーが、水力や原子力という基盤電源をしっかりと持っていて、火力発電のような価格変動が激しいエネルギー源が少なかったからです。