疑念を煽る言説の罪 — 金融政策と信頼の破壊 —

日経新聞「大磯小磯」に掲載された論説は、金融政策の本質が「期待」と「信頼」にあることを明確に示している。
にもかかわらず、朝日新聞社とテレビ朝日は、政府と日銀の政策に対し疑念を煽り続けてきた。
その象徴が、国民に不信を植え付ける古館伊知郎の物言いである。

2016-03-25
以下が、「金融政策の力と透明性」と題した、今日の日本経済新聞の大磯小磯である。
これ以上の論説は無いと言っても過言ではない。
題字以外の文中強調は私。
金融政策の役割は世の中に出回る貨幣流通量の調節である。
日本銀行はデフレ脱却に向けた貨幣量増大のために銀行が持つ国債などを買い、その対価として貨幣を供給している。
だが銀行が貨幣を貸し出しに回さず、日銀に預金していたのでは世の中の貨幣量は増えない。
マイナス金利は銀行貸し出しを促進させ、市場金利を低下させて借り入れ需要も喚起する政策だが、一定の時間がかかる。
量的緩和政策の限界として国債残高の制約も指摘される。
しかし、銀行経由でなくとも、日銀が流通貨幣量を増加させる手段はいくらでもある。
本来、貨幣は無利子の永久政府債務である。
貨幣を増刷して政府に供給すれば、政府は無利子で返済不要の資金を手にする。
それを原資に政府が大幅な減税をすれば、経済活性化に劇的な効果がある。
これは巨額の紙幣をヘリコプターからばらまけば物価は必ず上昇するという、経済学の有名な反論不可能な思考実験の現実版である。
そうすれば超インフレになってしまうとの反論があるだろうが、今はそのインフレが目的だ。
規模を調節すれば一気に超インフレにはならない。
財政ファイナンスを否定する議論自体、それがインフレにつながることを前提にしている。
デフレ脱却にはインフレ防止とは逆の発想が必要で、政府と日銀の協力が不可欠である。
日銀にはインフレ目標を達成する力があるが、もう一段踏み込むには政治的な決断が要る。
経済を動かすのは政府や日銀ではなく、将来を見据えた民間の活動である。
デフレ脱却に必要なら何でもやると強調している日銀の力を、国民が信頼して行動できる環境の整備が日銀の役割である。
ベン・バーナンキ前米連邦準備理事会議長は退任後、金融政策は98%の対話と2%の行動だと述懐した。
サプライズだけでなく、丁寧で率直な説明に基づく透明性の向上が、金融危機後のデフレ防止と早期復活を達成した米国金融政策の教訓である。
国民がデフレ脱却に疑念を持てば、これまでの成果も失われる。
何でもやるとは何なのか、国民が納得する道筋を示せば、それを先取りして国民が動き、実際の政策発動前にも効果が生じる。
それが期待に働きかける金融政策の神髄である。
この論文を読んだまともな頭脳の持ち主たちは気づくはずだ。
日本国の政府がまともな経済政策を執ろうとするたびに、なぜか、これを阻害するような事を言い続けて来たのが朝日新聞社とテレビ朝日であることに。
特に最後の「国民がデフレ脱却に疑念を持てば、これまでの成果も失われる。」という一文を読めば、正に、彼等は自ら疑念を述べて、国民に疑念を持たせようとして来た古舘伊知郎の物言いを思い浮かべるはずだ。
彼らがどれほど幼稚で悪辣だったかも明瞭に分かるはずだ。
この稿続く。

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