事実を掘り起こす記者 — 阿比留記者の仕事 —
産経新聞の阿比留記者は、事実を丁寧に調査し、一次情報に基づいて記事を書く数少ない記者である。
従軍慰安婦問題を含む歴史・政治分野での検証姿勢は、日本の言論にとって貴重な存在だ。
高山正之の系譜に連なる記者として、その意義を評価する。
2016-03-27
以下は3月24日の産経新聞5ページの阿比留瑠比記者の連載コラムからである。
私は従軍慰安婦問題の真相を知った経緯の中で、彼を知った。
彼は、今、日本で、事実をきちんと調査して記事を書いている数少ない記者である。
昨年、高山正之を知って、なるほど、彼が先輩としていたから阿比留記者の存在もあるのだなと感じた。
題字以外の文中強調は私。
今や野党共闘の中核である共産党について、政府は22日の閣議で「現在も破壊活動防止法に基づく調査対象団体」「『暴力革命の方針』に変更はない」などと指摘する答弁書を決定した。
今夏の参院選に向け、ソフトイメージを演出したい同党や、共同戦線「民共合作」を進める民主党などにとっては、さぞや困った答弁書だったろう。
「共産党も含めて5野党が力を合わせて安倍晋三政権打倒、戦争法廃止を掲げて選挙協力までやろうと今前進している。
そういうものに対する不当な攻撃を加えたい意図を感じる」
共産党の山下芳生書記局長は22日の記者会見でこう強く反発したが、政府側は「治安当局がそのようにみているということだ」(菅義偉官房長官)とあっさりかわしていた。
ボタンの掛け違い。
筆者は、この共産党は調査対象団体だとする答弁書を読んで、ある政治家を連想した。
警視庁の監視対象だった東工大の学生運動のリーダー時代、機動隊と衝突して逮捕されるのを避けて常に4列目をキープしていたため「第4列の男」と呼ばれていた菅直人元首相のことである。
当時、警視庁警備第1課長を務めていた初代内閣安全保障室長、佐々淳行氏から、菅政権時代の平成23年6月にこんな後悔の言葉を聞いていたからだ。
「捜査対象だった菅氏は人の陰に隠れるのがうまく、3列目まで捕まえたときでもあと一歩で逮捕には至らなかった。
しかし、(菅氏が首相に就いて国のかじ取りをしている)今考えると、多少無理してでも逮捕しておくべきだった」
ボタンを一つ掛け違うか外したままにするだけで、後の社会に大きな影響を及ぼすことがあるという事例といえよう。
そこで佐々氏に今回の政府答弁書について聞くと、こう指摘した。
「共産党は昭和25年、スターリン指令によって武装蜂起をし、火炎瓶闘争と呼ばれる暴力革命闘争を展開した。
そのために、破防法がつくられた。
彼らが、当時の行為を真摯に反省し自己批判しているだろうか」
この稿続く。