北ヤードは造船疑獄以上の事件だった
国鉄解体・民営化で国民に残された30兆円の赤字。その穴埋めに不可欠だった東京・汐留と大阪・北ヤードの処分をめぐり、なぜ大阪だけが失敗したのか。北ヤード混迷の真因と朝日新聞社の役割を検証する。
2016-03-28
生徒たちに「北ヤードにサッカー場を作ってワールドカップを誘致して下さい」と机の前の紙に書かせていた時のことである。
この章で、私が、「北ヤードに関した事は、実際は、造船疑獄以上の事件だったのだと私は確信している。」と書いたのは、以下の理由からなのである。
国鉄が解体、民営化された時に、国民の税金による負担として残された30兆円もの大赤字の事を、多くの日本国民は忘れているようなのだが。
国鉄は大赤字だけではなく、資産も残した。
その資産の中で、最も高い価格で売る事ができ、国民の税金負担を軽減することが出来るものの双璧として、東京の汐留地区と大阪梅田の北ヤードがあったのである。
東京都は、出来るだけ高価格で処分することが出来る様に、容積率等の緩和を計ったうえで、正に規制緩和、規制開放を実践して、国際的な公開入札を行った。
数区画に対して、それぞれ坪あたり1億円以上の価格で、電通や、香港一の大富豪である李嘉誠の不動産会社などが落札し、それぞれが一気に素晴らしいビルを建て、東京は、更に世界のTOKYOとしての地位を上げた。
一方、大阪は、当時、小泉内閣の規制改革会議の議長をしていた男が経営する会社などの意見として、何故か、朝日新聞社が、「公開入札をして、非常に高い価格で落札された場合、バブルを再燃させる恐れがある…」などという、デフレのドン底にあった日本経済のなかでも、凋落の激しかった大阪の不動産状況では全く考えられない意見を紙面で報じた。
私が、たった一人で戦っていた時、私は、弊社の社員に、私が既述の3者に対して話した事を、そのつど、A4の用紙にタイプして、北ヤードの記事を著名入りで書いていた多賀谷記者宛てに届けに行かせた。
だが、全く不思議な事に、多賀谷からは何の反応もなかった。
本来、朝日新聞大阪本社こそが、私が感じたと同様の怒りを持ってしかるべきだったのに。
大前研一が月刊誌SAPIOに書いた論文を読んだ私が、一瞬にして、北ヤードを混迷させた首謀者とは朝日新聞社だった事に気づいた事は既述のとおりである。
この稿続く。