検証と虚構の分水嶺――曽野綾子『ある神話の背景』が照らす大江健三郎の不遜

同一題材を扱いながら、現地取材・証言・資料検証を重ねた曽野綾子と、検証なき想像に依拠した大江健三郎。両著を読み比べることで、『沖縄ノート』の虚構性と、訂正なき傲慢の構造を明らかにする。

2016-04-02
大江氏は朝日コラムで「弁明」。
彼の不遜さは、同じ題材を扱った曽野綾子さんの『ある神話の背景』と読み比べればよくわかる。
曽野さんは現地に行き、関係者の話を聞き、資料を渉猟し、大江の『沖縄ノート』の三年後にこれを出版している。
その中には、大江が「屠殺者」と罵倒した赤松嘉次隊長が、集団自決を思いとどまるよう説得したという証言が語られている。
また、戦後、島民から遺族年金を受給できるよう自決命令を出したことにしてくれと頼まれ、赤松隊長が善意でそれに応じたことも書かれている。
座間味島の「梅沢裕隊長の自決命令」も同じである。
宮城初枝は、島の長老から「梅沢隊長から自決命令があったと役人に言え。そうすれば遺族年金が取れる」と命ぜられ、偽証したことを明かしている。
もし大江健三郎に良心があるなら、この著作をすぐ絶版にしただろう。
しかし、彼は五十刷を重ねた今も、その嘘の訂正すらしていない。
だが、彼の傲慢も、二人の隊長関係者からの訴えの前に崩れ始めた。
文科省の教科書検定でも、ノーベル賞作家の言葉に阿って記述された「軍の命令による集団自決」という嘘を、ようやく削った。
大江健三郎の敗訴を予感させる展開である。
だが、大江に反省はない。
朝日新聞のコラム(四月十七日)で、現地取材をしなかった理由を、「苦しみつつ生き延びた島の人に聞きただす勇気がなかった」と、ぬけぬけと書く。
「島の人」は、金が欲しいから情につけ込み、嘘をでっち上げ、遺族年金をせしめた。
沖縄での戦争の惨禍が酷かったのだから、これくらいは大目に見てほしい、というのが最初の話だった。
この稿続く。

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