発見の手柄を既成事実化する中国の常套手段――尖閣諸島と同じ構図
中国が学術発見を自国の成果として既成事実化する手法は、日本固有の領土である尖閣諸島を自国領と主張し続けるやり方と同一である。
レアアース泥や海底資源をめぐり、中仏連携と中国の貪欲な資源獲得戦略が進む中、日本は南鳥島周辺の開発意思を明確に示さなければならない。
2016-04-03
以下は前章の続きである。
題字以外の文中強調は私。
東大教授の加藤泰浩は、さいたま市の講演会でもう一つの懸念を口にした。
「中国はフランスの企業と組んで資源開発しようとしている。先にわれわれが開発したいと思ってます」。
加藤は平成26年11月から、石油・天然ガス開発会社などが参加する「東大コンソーシアム」というチームを組み、レアアース泥の開発を目指している。
中国にレアアース泥を揚げる技術はないが、世界トップクラスといわれる仏の海洋開発会社と組む可能性は否定できない。
加藤の懸念は中仏連携のシナリオだ。
中国主導のアジアインフラ投資銀行に仏が参加するなど、中仏は経済的に良好な関係にある。
レアアース泥が見つかったタヒチ沖の一部は仏の排他的経済水域であり、自国の資源に関心を示さない国はない。
加藤は2月、仏大使公邸に招かれ、来日中の国会議員らとレアアースについて意見交換した。
加藤は中仏の協力は十分にあり得るとの見方を深めた。
「仏と中国の企業は一緒に海底資源開発に乗り出そうとしている」と、国際的な海洋動向に詳しい研究者も指摘する。
その研究者によれば、パプアニューギニアで計画されている海底熱水鉱床の揚鉱では、船は中国、機械は仏企業、鉱石は中国企業が買い取る予定だという。
海底熱水鉱床は、金や銀などを含む海底資源で、日本では沖縄海域と伊豆・小笠原海域で発見されている。
沖縄海域では中国の海洋調査船が頻繁に出没しているという。
しかし経済産業省は隣国を刺激しないよう公表に慎重だという。
この研究者は、中国の資源獲得に対する貪欲さを象徴するエピソードを明かした。
「中国は、私たちがすでに発見した場所を『わが国の調査船が沖縄トラフで発見した』とニュースで流した」。
学術論文として発表し、既成事実化は阻止できたが、
27年6月、中国の通信社である新華社は、《中国 インド洋で埋蔵量が豊富なレアアース鉱を初発見》という見出しの記事を流した。
実はこれも、加藤が2年前に国際学術誌で発表済みのものだった。
発見の手柄の既成事実化は、日本の領土である尖閣諸島を自国領と主張し続ける手法と同じだ。
「南鳥島周辺のレアアース泥を開発する意志を見せておかないといけない。中国の海洋開発は日本を追い越すのが目標だ」。
こう警鐘を鳴らす研究者もいる。
「東大コンソーシアム」は南鳥島沖から泥を引き揚げる実証試験を、2年後に行いたいとしている。
30.8億円と見込まれるコストが課題だが、今、日本にとって重要なのは中国に後れを取らないことである。
敬称略。
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