これが「公平・公正」か ― アメリカ史と日本史、二つの描き方

アメリカ史は「自由と民主主義の輝かしい物語」としても、「侵略と虐殺の歴史」としても描くことができる。同様に日本史も、視点次第で全く逆の評価になる。にもかかわらず、NHKは自ら掲げる「公平・公正」を守らず、異なる視点を排除している。その矛盾を具体例で明らかにする。

2017-06-19
以下は前章の続きである。

これが「公平・公正」か。

例えば、一般のアメリカの学生が教科書で習うアメリカの歴史は次のようなものです。
古いヨーロッパの不自由な世界に飽きた人たちが宗教的自由を求めて未知の国に行き、そこで独立宣言をして憲法を作って、民主主義と自由主義の鉄則を作ってこれを世界に教えた。
アメリカではこのように輝かしい歴史として教えています。

逆に、アメリカの歴史は次のようにも描けます。
ヨーロッパで食い詰めた人たちが、船に乗って弱い人たちのいるところに行き、弱い人たちは親切で食べ物をくれたりしましたが、彼らはそこに住みつき始めると温かくもてなしてくれた人たちの子孫を殺し始めた。
彼らは西へ西へと殺して進み、野を埋め尽くすバイソンを全滅させたと同様に原住民を全滅させ、残った人たちを狭い地域に集めて住まわせた。
それでも足りなくて太平洋に進出すると今度は日本が邪魔になり……というふうに描けるわけです。

このように同じ国の歴史でも全く逆に描くことができます。
同じように、日本が台湾を植民地にしたことについても、全部事実を使ったとしても真っ黒な歴史にすることもできますし、輝く歴史を描くこともできます。
輝くような歴史といっても、当時の世界と比較してどうであったかという視点を入れれば日本の一方的な主張にはなりません。

例えば、日本は三百年近くも鎖国していたのですから、国際的な「引きこもり」状態でした。
ですからこちらから世界に打って出るつもりなど毛頭なかったのです。
しかしアメリカやヨーロッパの国々、いわゆる一等国が、無理矢理に日本を二等国として国際社会の場に引きずり出しました。

このような視点はNHKの番組には一切ない。
NHKは「新放送ガイドライン」に次のように記しています。
〈②公平・公正 NHKの放送は、視聴者にできる限り幅広い視点から情報を提供することを目指す。
意見が対立する問題を取り扱う場合には、原則として双方の意見を伝える。
仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があることを伝える〉
NHKが「公共放送」として自ら定めたガイドラインに、このように書いてあるのですが、今回放送された内容では「異なる意見があること」は全く紹介されていません。

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