金融危機後の規制強化が招いた皮肉――荒れる相場の構造
金融危機後に強化された規制と、変動率を軸にしたリスク管理手法の普及が、市場をかえって不安定にしている。
安全志向の高まりと投資銀行の自己売買規制が、相場を一方向に動かしやすくし、荒れる市場を生む構造が浮かび上がる。
2016-04-04
以下は前章の続きである。
題字以外の文中強調は私。
資産総額130兆円。
米JPモルガン・チェースの推計で、CTAを含め、変動率をモノサシに投資するファンドの資産総額は約130兆円に及ぶ。
日本の公募投資信託の残高を上回る規模である。
金融危機をきっかけに、こうしたリスク管理手法は急速に普及した。
「これがかえって市場を不安定にした」と、JPモルガンのストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏は言う。
多くの投資家が同じ手法でリスクを察知するようになると、市場は一方向に動きやすくなる。
年明け後の相場にも、そうした傾向がうかがえる。
金融危機後の規制強化も、荒れる相場の一因だ。
「かつては急落時に買い向かうこともできたが……」と、BNPパリバ証券の岡沢恭弥グローバルマーケット統括本部長は、もどかしさをにじませる。
投資銀行の自己売買部門は、規制強化によってリスクが取りにくくなった。
安全志向の高まりが、不安定な相場を生むという皮肉。
投資手法の高度化が進んでも、リスクは形を変えて市場につきまとう。