無知が科学を止める――原子力船「むつ」と新聞記者の罪
原子力船「むつ」の中性子漏れをめぐる報道は、科学知識の欠如が国家プロジェクトを長期漂流させた典型例だった。
同じ過剰煽動は近年の被曝事故報道でも繰り返され、日本の科学進歩を阻害し続けている。
2017-07-06
七〇年安保が終わって間もないころ、原子力船「むつ」が誕生した。
船体は石播が、三万六千キロワットを生む加圧水型軽水炉は三菱が請け負った。
初の国産原子力船は、米国のサバンナ号、ドイツのオットー・ハーン号に並ぶ優れものだと、日本人は胸を張った。
ところが試験航海に出てすぐ、格納容器遮蔽体の隙間から中性子漏れがあることが分かった。
気ままな中性子の制御は、駆け出しの日本がまだ完全にマスターしていなかった。
漏れは軽微であり、中性子を遮蔽する物質でそこをカバーすればよかった。
そこで水と並んで有効なホウ酸を使うことにした。
ホウ酸でご飯を炊き、そのご飯を糊状にして塗り付けた。
おばあちゃんの知恵のような対応だが、これで漏れは止まった。
あとは母港に帰り、遮蔽体を改良して本航海を目指すはずだった。
ところが、馬鹿な新聞が「放射能漏れ」と大騒ぎし、
「ご飯粒で漏れ穴をふさいだ」と、原子力船のいい加減さを強調し続けた。
朝日新聞は、母港むつ市の市民を焚きつけ、
養殖のホタテ貝が汚染されると煽った。
その結果、「むつ」は以来十六年もの間、漂流する羽目になった。
原因はただ一つ。
ホウ酸の意味を、記者が知らなかったからである。
日本の科学の進歩を阻害した新聞記者は、少しは学習したのかというと、どうもそうでもない。
先日、大洗原研でプルトニウムの被曝事故があった。
すると新聞は再び大騒ぎした。
「作業員は広島原爆で浴びた危険域の十倍以上」
「肺に入ったプルトニウムは取り除けない」
いずれも朝日新聞の記事である。
作業員が今にも死にそうな印象を連日流し、核アレルギーを煽り続けた。
挙句、ほとんどがデマだったと分かると、何事もなかったように鳴りを潜めた。
こういうのを、故意のから騒ぎという。
少しは学習してほしいものである。