四国に獣医学部が必要だった理由 ― 改革を阻んだ抵抗勢力の正体
四国には獣医学部が一校もなく、感染症対策の知的拠点が欠如していた。加計学園問題の本質は、合理的政策判断を抵抗勢力と一部野党・メディアが歪めた点にある。
2017-07-13
以下は前章の続きである。
満たすべき条件のなかで、とりわけ重要なのは、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り、獣医学部の新設を可能とする」という点である。
現状、四国には獣医学部は一校も存在しない。
もし鳥インフルエンザなどが四国で発生した場合、調査や対策のための知的拠点が存在しないのである。
だからこそ、四国の民主党(現・民進党)議員も、四国に獣医学部を新設するよう要請を行なってきた。
抵抗勢力の圧力によって一校に絞らざるを得ないのであれば、四国に立地させるのが妥当であり、当然の判断である。
四国での開設計画を具体的に示したのは、加計学園のみであった。
こうした経緯を経て、特区諮問会議では、粛々と、一点の曇りもなく、今治の特区で獣医学部新設が決定された。
その主体が総理とどのような個人的関係にあるかについて、諮問会議のメンバーの多くは、ほとんど知らなかったと思われる。
少なくとも、私自身は知らなかったし、関心もなかった。
これは友人関係といった個人の問題ではなく、国家としての政策決定なのである。
今回の一件で、大きな問題となるのは、文部科学省の対応である。
そもそも獣医学部新設については、2015年の成長戦略において、2016年3月までに結論を出すことが決められていた。
しかし文科省は、その決定に対する対応を行なわなかった。
内閣府はこの点を重視し、粘り強い交渉を続けた。
約半年間、決定は猶予された。
それにもかかわらず、文科省は対応せず、9月16日の文科省と特区ワーキング・グループの会議において、最終的に論破される結果となった。
すなわち、新設を認めない合理的理由が存在しないことが明らかになったのである。
ライフサイエンスの進化を踏まえた新たな需給見通しの提示を求めたにもかかわらず、担当省庁である文科省は、それを一切示すことができなかった。
加計問題の本質は、改革に反対する抵抗勢力のなりふり構わぬ抵抗を、一部野党とメディアが、「証拠主義の無視」および「立証責任の転嫁」というルール違反の手法で後押しした点にある。
閣議決定文書や、諮問会議およびワーキング・グループの議事録を普通に読めば、到底成り立たないレベルの批判である。
懸念されるのは、こうした事態が続けば、霞が関全体が改革への意欲を失ってしまうことである。
今回のように、出所不明の文書を根拠に批判され、さらに立証責任まで転嫁されるのであれば、強力な抵抗勢力が存在する困難な改革を、誰もが避けるようになるだろう。
加計問題で政府を批判してきた人びとは、最終的に特区そのものの廃止を主張した。
まさに、「抵抗勢力の本性見たり」と言うべきである。
さらなる岩盤規制をいかにして突破するか。
王道の政策論議に回帰することこそが、今、必要とされている。
後略。