では、めでたく官になったあとは、どうするのだろう。
谷崎光の著作をもとに、中国において「官」になった後に求められる行動原理を列挙する。中身の空虚さ、上への卑屈、下への傲慢、道徳を装った非情、賄賂の容認という官僚像を描き出す。
2016-04-14
〈著者略歴〉
谷崎光(たにざき ひかり)。作家。新卒で㈱ダイエーと中国の合弁貿易商社に貿易営業職として五年間勤務。
退職後に発表した『中国てなもんや商社』(文藝春秋)は松竹で映画化。
主な著書に『日本人の値段 中国に買われたエリート技術者たち』(小学館)、『北京大学てなもんや留学記』『感動中国 女ひとり、千里を行く』(文藝春秋)、『男脳中国 女脳日本 なぜ彼らは騙すのか』(集英社インターナショナル)、『てなもんや中国人ビジネス』(講談社)ほか多数。
2001年より北京大学経済学部留学を経て北京在住、現在十五年目。
以下は前章の続きである。
では、めでたく官になったあとは、どうするのだろう。
空―気骨と中身がないようにせよ。何でも迅速にこなすが、自分の利に合わせて臨機応変に振る舞い、常に逃げ道を残しておく。
恭―上には卑屈にうやうやしく振る舞え。上司に面と向かってでもよいし、その家族や友人に媚びてもよい。
細―下には居丈高に、偉そうに振る舞え。ただし下でも自分に利のある者には丁寧に接せよ。
凶―目的のためなら、他人が死のうが生きようが、子供を売ろうが、春をひさごうが、気にも留めるな。ただしこれは仁義や道徳というオブラートで包め。
聾―見ざる、言わざる、聞かざる。自分に何を言われても気にするな。
弄―賄賂は受け取れ。官になるための凄まじい努力、なってからの気遣いとストレス、そのすべては、この一点のためにある。
まさに中国の官である。