「定番の嘘」はこうして生き残る――検証なき告発の罪
湾岸戦争で再演された「赤ん坊を銃剣で」という虚偽証言が、検証されぬまま日本軍の物語へ転用される過程を検証する。学者が果たすべき一次資料確認と反証探索の不在が、名誉毀損を固定化する構造を明らかにする。
2016-04-29
以下は前章の続きである。
実は湾岸戦争の折にも、この「赤ん坊を銃剣で」話を目撃したという少女が、米議会公聴会で証言した。
やっぱりイラク軍は獣だと。
戦後の検証で、少女は在米のクウェート外交官の娘で、証言も作り話と判明した。
しかし、嘘と分かっても、それがどうしたみたいに、誰も何の反応も示さず、イラク軍の不名誉は、そのまま放置された。
いわば、定番の嘘といっていい。
それを、日本兵がマレーでやったという。
そういう話を聞けば、**林博史**は、まず、日本人の名誉のために、華僑が嘘を言っていないか、該当する日本の部隊名はどこか、生存者を捜して話を聞くとか、華僑よりバイアスのかかっていないマレー人の目撃者はいなかったかとか、きっちり検証作業をするものだ。
個人的な体験で言えば、嘘を言わない華僑になど、会ったこともない。
しかし、彼が、そういう検証をしたという話は聞かない。
この稿続く。