ワイドショーが燃料投下――加計問題報道に見るテレビの致命的偏向
2017年8月30日発信。
安保法制報道以上に深刻化した日本のテレビ報道の偏向を、加計学園問題を題材に検証する。前川証言の憶測だけを報じ、核心事実を伝えないワイドショーの構造的欠陥と、放送法規制不在という国際的にも異常な日本の実態を、複数の論者の証言から明らかにする。
2017-08-30
以下は前章の続きである。
◎ワイドショーが燃料投下
小川
以前に安保法制に関するテレビ報道も調査しましたが、当時よりさらに酷い偏向が見られました。
番組全体が、前川証言の理論で出来上がっています。
阿比留
実は閉会中審査で最も大事なポイントは、前川さんは誰からも「加計学園」という固有名詞を直接聞いていないことがはっきりした点です。
前川さんが「一番の首謀者」としていた和泉補佐官とのやりとりでも、和泉さんから総理や加計という名前は出ていないことを、前川さん自身が認めている。
「やっぱり、前川さんが勝手に”総理のご意向がある”と思い込んだだけじゃないか」と分かった。
しかし、そのことを報じない。
小川
そもそも前川さんは、獣医学部新設に関しては事務方最高責任者なのです。
行政が歪められていると思ったならその時に動いて正せばよかったと思いますが、文科省文書を見ても証言を見ても、彼は何もしてない。だから、すべての情報が伝聞や憶測なのです。
一方、加戸さんは本当の当事者ですから、話を聞いてみれば、これは愛媛県と獣医師会による岩盤規制との間の長年の戦いであって、安倍総理も加計理事長も主要な登場人物ではない。
これが分かってしまうと、加計問題を大きく取り上げていた人たちのストーリーが崩れてしまう。
だから、前川さんの憶測だけを報道し続ける必要があったのだと思います。
櫻井
これも小川さんの資料ですが、放送法にかかわる国際比較のデータがあります。
英米仏独に加えて韓国でも番組基準が制定されており、違反すれば訂正報道の命令や課徴金が課される。
しかし、日本にはありません。
自主自立でやれということになりますが、実際には全くできていません。
特にワイドショーは、一日に2時間も3時間も毎日報じられています。
報道番組は、少なくとも社会部や政治部の記者が情報を持ち寄って編集会議を経たうえで構成していると思うんです。
キャスターも同様で、報道番組のキャスターは、かなり偏ってはいても、それなりに注意して話している部分もあります。
しかしワイドショーの司会者は、固有名詞は出しませんが、好き放題ズバズバ言って人気を博しているようなところがある。
これは非常に問題です。
阿比留
コメンテーターもそうです。
専門性もなければ詳しいわけでもない。
条件反射で何かをしゃべっているだけ。
あれは百害あって一利なしだと思います。
花田
要は視聴率が取れるかどうか。
世の中が前川に乗っかっているから、そちらに寄せて映像やナレーションを作ってしまう。
加戸さんを取材しても、「取りたい証言」が出なければ使わない。
この稿続く。