映像は「作れる」――TBS「ひるおび!」に見る意図的編集の実態

TBS「ひるおび!」による都議会選挙後報道は、握手拒否という虚偽の印象を意図的な映像編集で作り出していた。本稿は、テレビ報道の現場で常態化する「演出」と「切り取り」が、いかに世論誘導として機能しているかを、当事者の証言から明らかにする。
2017-08-01
以下は前章の続きである。

映像は「作れる」

加藤
分かってやっているとしか思えないのは、たとえばTBSの「ひるおび!」という番組。
都議会選挙後の七月三日の放送で、「小池都知事初登庁の際に、都議会自民党の川井重勇氏が小池さんからの握手を断った」という映像を流した。
さらにコメンテーターが、「握手くらいすればいいのに」「やっぱり頭の黒いネズミ」などとコメントしました。
ところが川井氏は、実際には小池さんと握手を交わしていたんです。
記念撮影は断ったけれど、握手は断らなかった。
にもかかわらず、わざと握手する直前、小池さんが手を出したところでVTRを切って報じた。
これは意図的としか言いようがないでしょう。
この指摘を受けたTBS「ひるおび!」は、後日、「内容は誤りで、川井氏が拒否したのは握手ではなく写真撮影でした。失礼しました」と局アナが頭を下げて、それでおしまい。
末延
要するに、映像は「作れる」んですよ。
TBSもテレビ朝日も、映像を「作っている」。
僕も若い頃は朝日グループにいたから左だったし、当時はイケイケで、朝日新聞批判の際に指摘された「エッジを利かせた」映像を作ってきました。
昔、自分もやっていたことだから、「自分だけが正しい」なんて言うつもりはない。
そういうふうに作らないと番組にならない、ニュースにならないという価値観や「場の空気」が現場にはあったし、局の後輩たちにもそう教えてきました。
しかしその後、大学に行って学生に教えたり研究し始めたりしたのは、自分の報道を見直さなければならないという思いがあったからです。
湾岸戦争後の自衛隊PKO派遣の時には、「自衛隊が派遣されるのはいかがなものか」という印象を視聴者が持つように、軍服を着ていても民間人の職能である大工さんや医師などとして活躍する映像ばかり流した。
「自衛隊が行く必要はない」と印象づけるものです。
これは間違いだったので、いまは講演でも、授業でも、自分がかつて作ったVTRを見せて、これは間違いでしたと言っています。
加藤
懺悔しているんだ(笑)。
末延
それをすると「また政権にすり寄って」と言われるんだけれど、そうじゃない。
局の現場の空気は、権力は悪、メディアは反権力、つまり反自民であるべし、というのが支配的です。
報道の役割は「権力の監視」であって、何でも反対することがメディアの役割ではない。
しかし、エッジの利いた「強いヤツを叩いてるふう」の番組でないと視聴率は取れないんですよ。
この稿続く。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください