本物のリアリストの警鐘――自衛隊大規模改革を急げ
2016年9月8日発信。9月5日付産経新聞フロントページに掲載された**櫻井よしこ**の論文を紹介する。中国の軍拡と米戦略転換の下で、日本が直面する戦後最大の安全保障危機を直視し、自衛隊改革と国民的覚悟の必要性を説く。本稿は日本国民のみならず米国民も傾聴すべき現実主義の論考である。
本物のリアリストとしての論文であり日本国民の全ては勿論米国民も傾聴しなければならない論文である。
2016-09-08
以下は9/5産経新聞フロントページに「自衛隊大規模改革急げ」と題して掲載された櫻井よしこさんの本物のリアリストとしての論文であり日本国民の全ては勿論米国民も傾聴しなければならない論文である。
戦後、日本の安全はアメリカが守ってきた。
どこから見ても極めて奇妙な他国依存の安全保障環境を日本国民は空気のように当然視してきた。
しかし、アメリカは中国の尋常ならざる軍拡に対応すべく国防戦略を根本的に見直している。
結果、日本は核兵器を除く分野で国土防衛のほとんど全てを自力で行わなければならなくなっている。
戦後初めての局面だ。
この大変化に対応できなければ日本は生き残れないが、わが国はまだ対応できていない。
これでどうして日本国と国民を守り切れるのか。
政府中枢の、とりわけ国防の責任者は眠れぬ夜を過ごしているのではないかとさえ思う。
戦後最大の危機である安全保障環境の変化に警告を発してきたのは日本戦略研究フォーラム政策提言委員で元陸上自衛隊西部方面総監の用田和仁氏らである。
氏は米軍の前方展開を阻止するための中国のA2AD戦略に対して、アメリカが後退し続けていると指摘する。
従来の日本は、中国が第1列島線に進出するとき、いち早く米空母が来援し、米軍が対中国戦で主導権をとり、米軍が中国本土を叩くことを前提に作戦を立てていた。
それが米戦略のエアシーバトルだと捉えていた。
ASBはアメリカの核抑止力が有効であることを前提に、通常戦力による軍事バランスを維持して紛争を抑止し、長期戦で中国の国力を疲弊させ、終戦に導く戦略だ。
一方、中国のそれはショート・シャープ・ウォー、短期・高強度戦法と呼ばれる。
核以外の全ての力を集中させて短期決戦の局地戦で勝つという考えだ。
現在の米軍の作戦では、中国にミサイル発射の兆候が確認されれば、空母も海・空軍も第2列島線の東側に退き、眼前の敵には日本が立ち向かう構図である。
であれば、日本の防衛の根本的見直しが必要なのは明らかだ。
自衛隊は装備も隊員も圧倒的不足の中にある。
加えて憲法も自衛隊法も専守防衛の精神にどっぷり浸り、自衛隊の行動も攻撃能力も厳しく制限されているではないか。
アメリカは第1列島線防御を長期戦で考えるが、最前線に立つ第1列島線の構成国は日本、台湾、フィリピンだ。
日本以外の2力国はもとより、日本に、「長期戦」に耐える力などあるのか。
週刊誌AERAの世論調査では、自衛戦争も認めない日本人は男性で3割、女性で5割以上を占めていた。
こんな状況で、厳しい制限下にある自衛隊が第1列島線を守り切ることなど不可能だ。
そのとき、日本国は中国軍に押さえられる。
悪夢が現実になるかもしれない局面が見えてきているいま、警鐘を乱打し、国民に危機を伝えることが政府の役割であろう。
中国軍の下で日本が何をさせられるかについてはアジアの同朋の悲劇を思い起こすのがよい。
かつてモンゴルを占領した中国はモンゴル軍にチベットを攻めさせた。
日本をおさえた段階で、中国は自衛隊を中国の先兵として戦線に強制的に送り出すだろう。
悲惨である。
この稿続く。