中国の人権問題は国境を越える――拉致が示す現実

劉暁波氏の事件を象徴として、中国の人権侵害は国内問題にとどまらず、香港、台湾、タイ、東南アジアへと拡散している。越境拉致という手段を用いる中国当局の行動と、それを黙認する各国社会の現実を、具体的証言を通じて明らかにする。


結局、劉暁波さんの問題が象徴的ですが、中国の人権問題というのは、中国国内だけの話ではない
2017-08-05
以下は前章の続きである。
福島
結局、劉暁波さんの問題が象徴的ですが、中国の人権問題というのは、中国国内だけの話ではない。
ありとあらゆる国が関わってきています。
今、東南アジアなどでも、中国による人権侵害問題がたくさんあるんです。
例えば中国による越境逮捕はタイでもミャンマーでも行われている。
香港でも平然と人が拉致されています。
矢板
拘束ではなく「拉致」してしまうんですよね。
福島
この間香港へ行きましたが、中国当局に拉致された当事者の一人、銅鑼湾書店の店長・林栄基さんにお会いしてきました。
二〇一五年秋、関係者がつぎつぎと失踪する事件が起こった。
その書店は「習近平主席のスキャンダル本」などの出版を予定していたそうで、それを阻止するために書店株主や店長、店員ら五人が拉致されたのです。
そのうちの一人、オーナーの桂民海さんは中国で、飲酒運転ひき逃げ事件犯として起訴された。
林さんは中国に必ず戻るという約束で、一度釈放されたのですが、その約束を反故にして記者会見を開いた。
そこで自分が拉致、監禁されたいきさつを暴露したのです。
彼はこの事件は習近平政権直属の組織によって行われたと主張しています。
拉致からの駆け込み国・日本
福島
その後、彼は中国国内で事実上の指名手配を受けている。
中国に戻れば必ず逮捕される。
では香港にいる間は大丈夫かと言えば、今の香港ではそうは言えない。
香港はもう安全な場所ではないからです。
彼自身は深川のパスポートコントロールを越えたところで逮捕されましたが、彼の同僚の李波は香港で拉致されている。
ところが香港警察は何も言わない。
銅鑼湾書店の拉致事件後の二〇一七年一月、香港の五つ星のフォーシーズンホテルからも富豪が拉致されています。
明らかに中国当局の仕業だとわかっているのに、誰も文句を言わないし、香港警察も捜査をしない。
ホテルも客が消えたにもかかわらず何のコメントも出さない。
矢板
その中国有数の大富豪、蕭建華は奥さんと二人で旧正月の前に拉致された。
翌日奥さんだけが戻って来て、香港警察に拉致の被害届を出しました。
それは朝のことです。
ところが、その日の夕方になって被害届を取り下げた。
香港警察も捜査できなくなった。
その奥さんが今日本にいるらしい。
怖くなって日本に逃げてきたそうです。
当局から圧力を受けて被害届を取り下げてしまったらしい。
福島
香港から、日本に逃げてきている人はけっこういますよね(笑)。
矢板
拉致を恐れて日本に来るということは、日本はまだ大丈夫ということか。
台湾、香港だけでなく、タイ、東南アジアはみんな危ない。
福島
タイ、東南アジアではすでに中国当局による拉致事件がありますから。
今のところは、日本が一番安全なのでしょう。
香港に拠点をおいていた軍事評論家の平可夫(アンドレイ・ピンコフ)さんも、いつの間にか日本に移住していた(笑)。
この稿続く。

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