中国のデモは命がけだが、ここはまるでお祭り— 病室から見たアメリカの「占拠」 —
入院中の病室から世界へ発信された記録。
ニューヨーク・タイムズスクエアで続く「占拠」運動。
命がけの中国のデモと、要求ばかりが並ぶアメリカの集会。
世代、責任、民主主義の差異を浮き彫りにする現場報告。
2016-10-14。
以下は2011-10-16、入院中の病室から世界に発信したものである。
文中黒字化と*は私。
ニューヨークでは15日(日本時間16日朝)、マンハッタンのど真ん中、タイムズスクエアで集会が計画されている。ウォール街近くの公園の「占拠」が始まってもうすぐ1ヵ月。今も昼間は連日1千人以上でにぎわい、夜も数百人が野営する。
スタブルーラ・ハリスシスさん(28)は12日にシカゴからやって来た。バックパックと、スーツケースが「全財産」だ。来る前にインターネット検索エンジン会社を退職。アパートも引き払った。愛車を売って得た約4千ドル(約30万円)が当面の生活費だ。
*まるで、ボブ・ディランの歌を聴いている様で私は目頭が熱くなった。
なぜそこまでして参加するのか。「初めて私たちの世代が団結して『アメリカは不公平だ』と声を上げた。アメリカは変わるかもしれない。参加しなければ一生後悔すると思った」
資産次第で、地位や接し方まで決まる米国の「拝金社会」を変えたいと願う。貯金が尽きるまでは、ここにとどまるつもりだ。
デモや公園生活は、徹底した直接民主主義で運営されている。毎日午後7時からの「総会」で、次の日の予定や寄付金の使い道を話し合う。
冷ややかに見る目もある。米名門私立大に留学中の中国人女性(30)は「中国のデモは命がけだが、ここはまるでお祭り。あれして、これして、と要求ばかり。米国では選挙がなければ仕事もあるし、自由もある。甘えすぎだ」。
公園で暮らす若者を支える人の中には、ニューヨーク在住の60、70代が目立つ。モシェ・セイヤーさん(66)の担当は食料調達。パンや野菜、チーズなど1日約2千人分の食材を寄付を募って確保する。
セイヤーさんは長年パソコンのソフトウエア会社に勤務し、ウォール街の金融機関が使うソフト開発にも携わった。
「私にもアメリカを強欲にした責任の一端がある」。若者支援は罪滅ぼしの意味もある。
(ニューヨーク=春日芳晃)