フランスが核武装を選んだ理由 ― ドゴール時代が示した現実
米国の「核の傘」が同盟国を最後まで守る保証ではないという現実を踏まえ、中国の核恫喝とMD(ミサイル防衛)の限界を論証する。フランスがドゴール時代に到達した結論と核武装の論理を引き、日本の安全保障の根本問題を提示する。
実はフランスも、ドゴール時代にこれと同じ結論に至り、核武装した。
2016-10-31
以下は前章の続きである。
当たり前だ。
アメリカは「君主に仕えるサムライ」ではない。
(もちろん日本も君主ではない)
たとえるなら「金で雇われた用心棒」だ。
金ではなく忠義で仕えるサムライは、妻が殺される可能性があっても時に君主の命を守ることもあるだろう。
だが、用心棒にそこまでの義理堅さはない。
用心棒は妻が危険なら契約を破棄して妻と一緒に逃げるのが現実である。
もちろん用心棒が妻より雇い主を優先したりすれば、妻は当然激怒するだろう。
他国のためにアメリカ国民の命を危険に晒すことなど、アメリカ国民が許すわけがない。
そしてアメリカ国民が許さないことをアメリカ政府がするわけがないのである。
これはつまり、日本の“いわゆる平和憲法”の、「他国に頼った防衛戦力」というものは100%“最後まで”日本を守ると確約されたものではないという意味だ。
今、日本が支那(中国)と戦争をすれば、日本は決して支那(中国)に勝つことは出来ない。
通常兵器では日本が優勢だ。
だが、日本は専守防衛だから最高の結果で引き分けにしかならない。
その上、支那(中国)は核ミサイルを持っているので支那(中国)が日本に核恫喝をすれば、日本はかなり不利な条件を呑まされることになる。
結局、今のままでは日本は良くて引き分けだし、支那(中国)が日本に核恫喝をすれば日本は負けと等しい講和条件を受け入れることになる。
支那(中国)にしてみれば、核ミサイルを持っていない日本が相手なら恐いもの無しだ。
最悪の場合には、日本は広島や長崎に次いで、3回目、4回目の核攻撃を受けることになる。
MD(撃墜ミサイル防衛)に期待するのは無理だ。
MD(撃墜ミサイル防衛)は実戦では役に立たない。
2006年6月22日、ペリー元国防長官
米国の弾道ミサイル迎撃システムが北朝鮮のミサイルに対し、効果的なのか証明されていない。
迎撃に失敗した場合、ミサイル防衛の価値を損なうことになる。
2007年12月18日、フィリップ・コイル元兵器運用・試験・評価局長
(ハワイ沖で、イージス艦「こんごう」が迎撃ミサイル「SM3」の発射・迎撃実験に成功したことについて)
「実験はお膳立てされたもの」
「米国と良い関係を維持するために数千億円を無駄に費やす必要などない」
「MDなんて、あまりにも現実離れしている」
以下は、『中国の「核」が世界を制す』伊藤貫著より抜粋
トーマス・クリスティ
(国防総省の兵器運用・試験・評価局長)
MD(撃墜ミサイル防衛)システム成功率は、せいぜい0~20%程度。
これまでのMDシステムのテストで成功した例は、すべて非現実的な単純な条件のもとでしか行われていない。
これらのテストは、実際の戦争で核ミサイルが使用される場合の現実的な条件と比較することが無意味なテストだ。
だから兵器運用・試験・評価局としては、このシステムの実際の成功率を推定することができない。
ディビッド・カレオ
(ジョンズ・ホプキンス大学教授)
(中国軍とロシア軍は)、ICBM、SLBM、戦略爆撃機、中距離弾道ミサイル、巡航ミサイル等をすべて同時に使用して、核攻撃を加えることができる。
そのような同時核攻撃を受けたら、MDシステムは何の役にも立たない。
私の知っている軍事専門家の中で、MDが本当に有効であると信じている者はいない。
MDはとても高価な装置だが、このMDシステムを無効にする能力を持つ対抗兵器や対抗戦術の実現には、それほどコストがかからない。
今後、限られた地域の軍事施設を守るためのテクニカルなMDシステムを構築することは可能かもしれない。
しかし、民間人を敵国の核攻撃から守るためのMDの実現は不可能だ。
実はフランスも、ドゴール時代にこれと同じ結論に至り、核武装した。
「ソ連がパリを攻撃した時、アメリカがニューヨークを犠牲にしてまでソ連に報復してくれるとは思えない。
自ら10発持ち、やられたらモスクワをやり返す」
ピエールガロワ将軍の「中級国家の核理論」である。
国家の安全保障を他国に依存することの危険を考えれば当然の選択と言えるだろう。
この稿続く。
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