「世界戦争=世界革命」を描いた尾崎 — 自ら誇示した国策誘導工作の全貌

本稿は、中西輝政の論文が示す決定的証拠に基づき、尾崎秀実が日本を南進へ誘導し、米英との戦争、ひいては世界革命を企図した工作の全体像を明らかにする。
『ゾルゲ事件(二)』に残る本人の言葉は、戦後史学が長く回避してきた「左翼が引き起こした戦争」という視点の再検証を迫る。

そのために行った工作についても、尾崎は同著の中で自らその成果を誇るかのように語っている.
2016-11-09.

「京都大学名誉教授中西輝政氏の、この重要と言う以上に重要な論文は10万円の購読料の値打ちがある」と私が言及した事について、以下の章は私の評の正しさを余すことなく証明している.

以下は前章の続きである.
見出し以外の文中強調と*~*は私.

「世界戦争=世界革命」を企んだ尾崎の活動.

尾崎の国策誘導工作のターゲットは、実は支那事変だけではなかった.
彼が摘発後にしたためた手記や、捜査当局による取り調べ調書など膨大な資料をまとめた、みすず書房「現代史資料」シリーズ『ゾルゲ事件(二)』を虚心坦懐に読み返すと、彼の工作の最終目標が彼自身の言葉ではっきり示されている.
それは、日本を南進させて米英と戦わせ、ヨーロッパ戦線とあわせた世界規模の大戦を実現し、戦争を通じて日本を共産主義化し、最終的には全世界を共産主義化することであった.
そのために行った工作についても、尾崎は同著の中で自らその成果を誇るかのように語っている.

*何度も国連を訪れて慰安婦ではない「性奴隷」などと喧伝し、ついにはこの言葉を世界に定着させた日弁連の横山某も、自らの成果だと誇らしげに語っていたという.
何事か工作する者たちは、必ずその結果を誇らしげに語るものなのだろう*

これらの資料に予断なく向き合えば、支那事変から対米英開戦に至るまで、日本が彼の描いたシナリオ通りの道を歩んでいたことが自ずと分かる.
この事実には、今更ながら慄然とせざるを得ない.

『ゾルゲ事件(二)』の刊行は昭和三十七年であり、そこから半世紀以上が経過した.
しかし日米開戦の背景において、尾崎の工作を正面から取り上げた学術的分析はいまだ皆無である.
私はこれも、学界・アカデミズムを牛耳ってきた戦後左派、あるいは東京裁判史観信奉者による「歴史の隠蔽」の一例だと考える.
すなわち、戦後“平和陣営”を自称してきた勢力、あるいはその先輩であるマルクス主義者や“進歩的”リベラル派の学者・研究者こそが、「戦前・戦中に軍国主義を推進し日本を戦争に追いやった」という自ら、あるいは恩師たちの不祥事の封印に加担してきたのである.

あの戦争には、たしかに「左翼が引き起した戦争」という側面があり、今後この視点からのより詳細な検証が求められる.
大東亜戦争が尾崎一人の工作だけで始まったわけではない.
だが、なぜ戦後日本の歴史家は尾崎の工作をこれほどまでに無視できるのか.
戦後史学界は、それを日米開戦の要因の一つとしてさえ取り上げず、どれほど影響したかの検証すら行ってこなかった.
これは、日本の近現代史研究が実証から背を向け、共産主義あるいは容共派の党派的意識とタブーに縛られてきた証左である.
この稿続く.

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