『NEWS23』とテレビ報道の暴走。街角アンケートと「報道しない自由」の時代。
TBS『NEWS23』が用いた街角アンケートやシリーズ企画を例に、テレビ報道における議題設定と世論誘導の問題を分析する。
バンドワゴン効果やホーソン効果など心理学的要因を背景に、視聴者を番組の論調へ導く手法を指摘する。
また「報道しない自由」による情報選別が、日本のテレビ報道の構造的問題として論じられる。
2019-02-01
いずれにしても、テレビ報道に対する疑義をほとんどの国民が持っていなかった暗黒の時代に、『NEWS23』はぶっちぎりで暴走していたと言えます。
以下は前章の続きである。
報道しない自由の行使。
「異論!反論!OBJECTION」というセグメントは、特定の政治・社会のアジェンダに対する街角の賛否を紹介するものでしたが、いつもその結果は番組の論調とよく合致するものでした。
当然のことながら、視聴者は【バンドワゴン効果bandwagon effect】によって番組の論調へ誘導されることになります。
一般に、街角アンケートの結果は第三者がチェックすることができないので、恣意的に結果を捏造することも可能です。
また、【ホーソン効果Hawthorne effect】という心理効果によって、アンケートされる側はアンケートする側の期待に合致した回答を行う傾向があることが知られています。
このような問題点があるため、政治に関する街角アンケートは、いわゆる「情報リテラシー」が高くない視聴者の存在が想定されるテレビ放送ではほぼ使われなくなったと言えます。
このような手法が定常的に使われて無批判に番組の論調の根拠に利用されていたことは、極めて危険な状況であったと言えます。
*NHKの(特に)watch9がこの「政治に関する街角アンケート」を多用しているのは報道部を支配している5%の人間達の悪質さを証明している*。
当時の『NEWS23』においては、ニュースの【議題設定agenda setting】自体が極めて恣意的であることがしばしば指摘され、自らの論調に不都合な話題をスルーする「報道しない自由の行使」は、当時のインターネットでも大きな話題となりました。
「このくにのゆくえ」「コイズミ的を問う」「スローライフ」といったシリーズ企画や「終戦スペシャル 殺すな」といった特別企画は、特定の勢力のプロパガンダを一方的に紹介するものでした。
なお、日本をわざわざ「このくに」と呼んで必要以上に批判するいわゆる自虐報道や、首相をカタカナで「コイズミ」と表現して蔑視する人格攻撃報道のルーツは、この番組にあります。
ネット言論を「トイレの落書」と表現してテレビで蔑視したのも、筑紫氏が最初です。
これは、ネット言論の登場により、これまでどおりの大衆操作ができなくなったマスメディアの危機感の表れであったものと考えられます。
いずれにしても、テレビ報道に対する疑義をほとんどの国民が持っていなかった暗黒の時代に、『NEWS23』はぶっちぎりで暴走していたと言えます。
この稿続く。