高山正之「変見自在」― 日露戦争と米国の戦争観を問う。
週刊新潮の連載コラム「変見自在」で高山正之は、日露戦争の捕虜収容所の実例やソフィア・フォン・タイル夫人の証言を通して、日本の文明性と戦争観を描く。
さらに米国の戦争の在り方や民間人爆撃、原爆投下の問題を論じ、朝日新聞の論調やサイデンステッカーの扱いにも鋭い批判を加える。
2019-03-31
コラムの舞台回しに使ったサイデンステッカー。
米国人の良心風に描写するが、この男は長崎に上陸して原爆の惨禍を目撃したのに生涯それを語ろうとしなかった。
そんな卑劣漢の名にすがって反日を振りまく。
その根性と浅薄さが嫌だ。
と題して2019-03-28に発信した章が公式ハッシュタグランキング:イスラエル20位に入っている。
以下は本日発売された週刊新潮に掲載されている高山正之の連載コラム「変見自在」からである。
私が、彼と櫻井よし子さんのコラムを読むために週刊新潮を購読している事は既述のとおり。
今週号も高山は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであるであることを証明している。
世界よ、彼にこそ世界最高の賞を与えなければならない。
米国の戦争。
ソフィア・フォン・タイル夫人はその朝、夫ウラジミールが負傷し日本軍の捕虜になった、マツヤマ収容所に送られたという知らせを受けた。
日露開戦から間もない1904年6月、旅順攻略戦の前哨戦が始まったばかりのころだった。
夫人は決断した。
日本に行き夫の介護をしよう。
周囲は、目下交戦中の国だし野蛮な有色人国家だ、無謀過ぎると諌めた。
だいたい日本が受け入れるはずもないと間に立った仏公使は思ったものだが返ってきた答えは「いいですよ」だった。
かくてソフィアはペテルブルクから1か月をかけて神戸に、さらに小型の船で絵のように美しい島々と陽気に働く人々に見とれながら松山に降り立った。
「ロシアの巨人軍隊がなぜ小人の兵隊に負けるのか。
私はやっと分かった。
この国は小さな村々に至るまで実に文化的で清潔に整えられている。
対して我が祖国の田舎はぬかるみ、家々は豚小屋同然で、民はその悲惨さの中で無知文盲のまま放置されている」。
文明の度も違った。
夫のためにとランプを持ってきたが収容所は電灯が点っていた。
その明かりの下で重い傷からなんとか生還した夫と再会した。
日本側は彼女に住まいと自由な行動を与え、彼女は夫の付き添いと次々にやってくるロシア傷痍兵の看護をする日々を送った。
彼らの言葉から本当の戦況も見えてきた。
秋口に巡洋艦リューリクの乗員が運び込まれた。
彼らは蔚山沖で沈められ、他の艦も大破しウラジオストク艦隊はそれで消滅したことを知った。
追いかけるように遼陽の戦場からの、そして旅順からの傷痍兵が入ってきた。
あの要塞も落ちたのだ。
翌春には奉天でロシア陸軍が壊滅し、僅かに逆転を期待されたバルチック艦隊も主要艦すべてが沈められてしまった。
ロシアの敗北は決まった。
彼女は日本人のみんなが持つ純粋な祖国愛と優しさを思い出にその秋、夫と帰国の途についた。
日露は錦州や奉天郊外を戦場に戦った。
海戦も対馬沖で雌雄を決した。
天下分け目の戦いも稲の刈り入れが終わったあとの関ケ原を戦場にし、ナポレオンもワーテルローの戦場で欧州連合軍と戦った。
その戦場の外、関ケ原の銃後では民百姓がお握りを頬張りながら戦いを見ていた。
長閑だった。
日露戦争ではソフィアが四国までやってきた。
銃後は長く戦場とは隔絶された場所であり続けた。
そんな戦争の形が米国の出現で崩れ去った。
ハーマン・メルヴィルは米国人を「カナンに入ったイスラエルびと」になぞらえ、先住民の子供まで殺す民族淘汰を正当化した。
いやイスラエルびとより卑劣で、先住民の戦士の留守を狙って居留地を襲い女子供を殺した。
女子供がいなければ種族は滅びる。
日本と戦ったときも同じ。
戦場で待つ将兵の頭上を飛び越えて日本本土を爆撃して女子供を殺した。
マツヤマは長閑だったが米軍の前にそんな安全圏はなかった。
英司令官パージバルは安全な奉天の収容所に送られたが、米軍機はそこも爆撃して捕虜19人を殺した。
彼も危なかった。
呉で撃墜されたB24の乗員ら12人は広島に移送留置中に投下された原爆で死んだ。
世界で唯一、銃後の非戦闘員を殺す米軍。
その非道を朝日新聞の福島申二がコラム「炎の記憶」で珍しく難じた。
朝日らしくないと思ったら結論はいつも通り「丸腰の庶民を精神論で立ち向かわせた日本」が一番悪い、だった。
非戦闘員が自衛することがなぜ非戦闘員殺しを専らにする米軍より悪いのか。
意味が分からない。
ついでに言えばコラムの舞台回しに使ったサイデンステッカー。
米国人の良心風に描写するが、この男は長崎に上陸して原爆の惨禍を目撃したのに生涯それを語ろうとしなかった。
そんな卑劣漢の名にすがって反日を振りまく。
その根性と浅薄さが嫌だ。