その狙いは「首相夫人という虎の中の虎の威を借りた」とする朝日の構図に沿わせることにある。—高山正之「籠池の使い方」—

本稿は、高山正之「籠池の使い方」を通して、森友問題をめぐる朝日新聞の報道構図と、籠池夫妻が保守と左派の双方をどう利用したかを痛烈に描き出すものである。
教育勅語、愛国教育、寄付金集め、国有地払い下げ、補助金申請、昭恵夫人の名の利用、そして朝日新聞による「森友疑惑」の再演に至るまで、詐欺師の機敏さと報道機関の作為が結びついた過程を、高山氏独特の皮肉とユーモアで暴いている。
朝日新聞、森友学園、籠池泰典、昭恵夫人、辻元清美をめぐる報道の読み解きとして、戦後日本のメディア構造を考える上でも示唆に富む一文である。

2019-03-15
その狙いは「首相夫人という虎の中の虎の威を借りた」とする朝日の構図に沿わせることにある。
国費を掠めた極悪人でもここまで美しく書けますって、それ自慢になるのか。

読書家の友人が今日は週刊新潮の発売日だと言って買って来てくれた。
5年前の8月以来、朝日新聞の購読は止めたから、今、朝日新聞が、どんなことを書いているのかは全く知らないのだが、今日の、高山正之の変見自在を先ほど読んで大笑いしてしまった。
彼も古田博司教授も5年前の8月以降に知った偉人たちだが、お二人ともユーモアの才も横溢しているのである。
以下は、今日発売された週刊新潮の名物コラム。
何しろ私は、これと櫻井よしこさんの連載論文を読むために購読しているのだから。
「変見自在」からである。
見出し以外の文中強調は私。

籠池の使い方。

およそ詐欺師は目端が利かないといけない。
この春、横浜市の高齢者宅に「全国銀行協会」名で「5月1日の元号改元による銀行法改正があった」というお知らせが届いた。

改正に伴って現行のキャッシュカードを「不正防止対策を施したカードに切り替えます」ので「口座番号と暗証番号を記入したうえ古いカードと一緒に下記銀行協会宛に送ってください」とあった。

改元は目下の話題だ。
カレンダー屋が困っているとか役所の文書もこの際西暦にするとか、テレビも新聞もそんな話を流している。
今回の詐欺師はその改元騒ぎを巧みについて儲けを企んだ。
実際、騙された人もいたが、ただ計画が杜撰過ぎて捕まった。

その意味で詐欺師、籠池泰典、淳子夫婦も時流を見る目は持っていた。
夫婦は世の中をつらつら眺めもう左は終わったと見た。
論壇を見たって左は老いた田原総一朗に認知症気味の田中優子くらい。
少し若い山口二郎も言うことは「韓国の徴用工にカネを払ってやれ」「安倍を叩き切れ」だけ。
それで国から6億円の科研費を貰っている。
けじめもない。
先行きは暗い。

これからは日本回帰、保守の時代かもしれない。
で、自分の幼稚園の園児に教育勅語を暗唱させたらすぐ評判になった。
「保守本流の教育をする籠池」は日教組の偏向教育にうんざりしていた人たちに好感された。
試しに保守の重鎮の渡部昇一に講演を頼んだら喜んで引き受けてくれた。
平沼赳夫も明治天皇の玄孫、竹田恒泰も田母神俊雄も駆け付けてくれた。
そうした人脈の先に現総理夫人の安倍昭恵もいた。

籠池に会った保守人士は誠意の欠片も感じさせない彼の面体と口吻に一様に戸惑った。
ただ保守の人は共通してヒトを疑わない。
みな性善説派の日本人で昭恵も籠池を善人と信じた。
詐欺師籠池は思った。
保守はご馳走や。

実際、彼らの名を広告塔に「愛国教育の小学校を建てる」と言ったら労せず4億円もの寄付が集まった。
田原総一朗にはできない芸当だった。

籠池は以来、国有地払い下げや補助金申請のたびに昭恵らの名を出して大物ぶって見せた。
結果、国や大阪府から1億7000万円も騙し取れた。

ただ予想外の事態が起きた。
隣の豊中市議に福島瑞穂の元秘書がいて、教育勅語を教える小学校などとんでもないと騒ぎ出した。
地元の辻元清美も動いた。
籠池夫人が「辻元がまた嫌がらせを」とメールで嘆くほどだった。

そして朝日新聞が出てきた。
籠池は困った。
別に本気の保守じゃない、ただ食い物にしただけだと言ったが朝日は「国有地払い下げに昭恵が圧力をかけた」構図をすでに作っていた。
籠池は昭恵と組んだ悪役だった。
捜査が入って公金詐欺もバレれば本意でもない「保守の詐欺師」にされてしまう。
それは避けたい。

で、籠池は保守の皮を脱ぎ棄てて朝日にすり寄ることにした。
「首相夫人の威光で国有地をこんなに安くしてもらった」と偽りの告発をすることにした。
その代わり詐欺は大目に見てもらえまいか。
社民党や共産党どもが籠池の家に入っていったのはその取引のためだった。

かくて朝日が創作した森友疑惑に生き証人が登場することになった。
籠池は政府の圧力で詐欺犯に仕立てられた「国策捜査の被害者」という役回りだった。

籠池の初公判の日、朝日は紙面を総動員して森友疑惑を再上演したが、笑えたのが天声人語だった。
籠池は法廷で「水を得た魚のように」弁明し、それを被告席から妻淳子がうっとりと見守る。
「労わりあう夫婦花」と二人を持ち上げる。
その狙いは「首相夫人という虎の中の虎の威を借りた」とする朝日の構図に沿わせることにある。
国費を掠めた極悪人でもここまで美しく書けますって、それ自慢になるのか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください