『日本人のための脱チャイナ入門 中国解体2021』より――なぜ日本は置いてきぼりとなったのか。防疫体制の脆弱性と特許制度の欠陥を問う
『日本人のための脱チャイナ入門 中国解体2021』のプロローグからの抜粋。
中国の「千人計画」、ECRA、5G・6G覇権、米国の技術流出阻止策、日本におけるスパイ防止法不在、そして特許制度の「秘密条項」欠如を通して、なぜ日本が安全保障、知財保護、半導体、防疫の各分野で置いてきぼりとなったのかを問う。
日本の知財保護法制と国家戦略の欠陥を考える上で必読の一節である。
2020-12-31
『日本人のための脱チャイナ入門 中国解体2021』より。
なぜ、日本が置いてきぼりとなったのか。
防疫体制の脆弱性に加えて、特許制度にも欠陥があるからではないのか。
下記の本のプロローグからの抜粋である。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
技術窃盗プログラム「千人計画」。
ココムとは東西冷戦時代に軍事技術のソ連輸出を禁正した規制で、ソ連崩壊と共に死滅したのではない。
厳密に言えば、1952年に制定されたチンコム(対中国輸出規制委員会)があるが、有名無実だった。
「第二のココム」として甦生したECRAでは、中国が主敵になったのだ。
日本企業はのほほんと何も対策を講じなかった。
ブラックリストに載った中国企業と取引のある日本企業は約800社。
いずれ「第二の東芝ココム事件」に類する事件が起こるだろう。
トランプ政権の意図は表向きは知財を守り、産業スパイを駆除し、シリコンバレーやハーバード大学からおもに中国出身者の逸材をスカウトする中国の「千人計画」を挫折させることである。
ECRAの最大の動機は、次期ハイテクの中核技術となる5G(第5世代移動通信システム)とAI(人工知能)開発で米国が中国の後塵を拝しているという現実に、不安と焦りを暮らせたからだ。
5Gの通信網が中国主導でなされたら、米国は技術覇権を失うことにつながりかねない。
5G開発で中国のリードに焦る米国は、一方において次の次、6G開発を宣言し、その国際規格化会議からファーウェイを排除。
他方では内偵捜査を強化し、中国人スパイのハイテク窃取阻止活動を本格化させた。
「千人計画」についての象徴的な事件は2018年12月1日に起こった、アメリカがファーウェイのCFO孟晩舟を「イランへの不正輸出に関与した」との理由をつけてカナダ当局に拘束させた件である。
2020年1月28日には、ハーバード大学のチャールズ・リーバー教授の中国代理人としての売国的な行為で逮捕、起訴にもちこんだ。
リーバー教授は、中国の武漢理工大学と秘密契約を交わし、月々5万ドルの手当を別途支給されていた。
中国の「千人計画」に深く関与していた。
内偵を受けていたスタンフォード大学の張首晟教授は、ファーウェイCEOの逮捕当日にサンフランシスコで謎の「自殺」を遂げた。
この2つの事件によって、中国の「千人計画」の全貌が明らかとなった。
専門知識をもつ海外の人材を中国の研究プロジェクトに活用するためリクルートするのが「千人計画」である。
米FBIなどの関係者は、これを「技術窃盗プログラム」とし、内偵を続けてきた。
「千人計画」の対象は、海外の企業や大学の研究者、リサーチャーや特許担当幹部らで、中国人と外国人の2つのプログラムがある。
米国NIH(国立衛生研究所)と共同で開発研究プロジェクトを進めている大学、研究所、ラボなどは全米59都市にあって、1億6400万ドルのR&D(研究開発)予算が配分されている。
ワクチン開発などに関与している研究者は399人、このうち133人を当局が調査中であることがわかった(「アジア・タイムズ」2020年6月20日付)。
「中国と共同研究すること自体が誤りだった」などと反省の声もあるが、現実には無自覚的に中国に協力しているラボ関係者が多い。
これは、中国政府が得意とする「臓器狩り」ならぬ「頭脳狩り」ではないか。
日本の知財保護はザル法。
とくに問題は日本である。
米国や欧州諸国とは異なり、日本にはスパイ防止法がない。
*先年、これに準じてはいるがスパイ防止法とは、とても呼べない法律を制定しようとした際に、スパイ防止法制定反対を叫んだのが朝日新聞等の左翼人士達である。
辛淑玉等が反対論の主唱者の1人だった事と、制定と同時に彼女がドイツに亡命した事は、実は彼女は朝鮮半島のスパイであった事を自分で証明していたようなものだろう。
今般のベルリン・ミッテ区での慰安婦像設置にも彼女の名前はちらついている。
こんな人間を朝日新聞等は重用し、植村隆が社長を務める週刊金曜日は彼女を役員にしていたのだから、米国なら彼らは全員訴追されているだろう。
彼らが大好きな中国なら死罪相当である。*
ゆえに情報の筒抜け状態は米国より悲惨である。
米国の動きを的確に読んで、自民党内で特許制度の欠陥「秘密条項」の議論が出てきた。
自民党の「ルール形成戦略議員連盟」(甘利明会長)は2020年7月28日、中国製のショートムービー投稿アプリのティックトック(TikTok)を日本でも規制できないか検討に入った。
インドに続き米国も禁止したが、個人情報が中国に漏洩するおそれがあるからだ。
さらに、日本における特許制度の問題がある。
日本では申請から18ヵ月後に「特許公報」によって特許出願内容のすべてが公開される。
「特許公報」が公文書であるからには、その日のうちに中国語に翻訳するのは違法ではない。
米国は最高機密に属するような軍事技術に関しては、特許法によって「秘密特許」とすることができる。
通称「サブマリン特許」ともいわれる。
自民党部会は特許の秘密制度に関しても討議に入った。
筆者が『日米先端特許戦争』(ダイヤモンド社)を書いたのは、すでに35年以上も前のことだ。
草稿の一部を雑誌「自由」に掲載したところ、たちまち英訳され、そのコピーをもって米国大使館の技術担当官が面会を求めてきたことを思い出した。
日本の民生用技術は汎用的であり、たとえば、二コンなどのAFの技術やCDの読み取り技術は巡航ミサイルの眼となり、ソニーのビデオカメラ技術は精密誘導爆弾のガイド役となり、レコーダー用磁気テープメーカーTDKの塗料はステルス戦闘機に転用されていた。
それゆえに筆者は、戦前のように特許制度の秘密条項を加えるべきだと主張した。
リコー、三菱電機、三洋電機などの特許部長らが快く取材に応じてくれたし、出版直後にはトヨタの特許本部などから講演の依頼もあった。
また、日米の防衛シンポジウムでも、筆者は何回かパネラーとして特許制度の秘密条項復活などを訴えた。
それから35年が経ったが、なんの変革もなかった。
特許公開広報は相変わらずで、無制限の公開を続けている。
この間に何が起こったかといえば、米国はスクリュー音を消す技術をソ連(当時)に供与したとして、ココム違反で東芝を制裁した。
米国は次世代半導体技術を日本の頭越しに韓国へ供与した。
日本の半導体産業は明らかな遅れをとり、わずかにルネサスエレクトロニクスなど数社が残るのみで、TSMC、サムスンと、最新技術の工場は台湾、韓国へ移行した。
これまで、軍事転用の最先端半導体は米国インテルがトップを走ってきた。
インテルは主力工場をイスラエルに建設し、TSMCはトランプ政権の強い要請で米国アリゾナ州へ新工場を建設することは述べた。
半導体の巻き返しは本格化している。
なぜ、日本が置いてきぼりとなったのか。
防疫体制の脆弱性に加えて、特許制度にも欠陥があるからではないのか。
この稿続く。
