石垣の自衛隊配備容認と、中国の脅威を直視できない沖縄メディア
2019年5月13日に書かれた本稿は、尖閣諸島周辺で強まる中国の侵略的行動、石垣市による陸上自衛隊配備容認、そしてそれに強く反発する沖縄メディアの論調を通じて、安全保障をめぐる沖縄報道の偏向と、八重山の有権者に求められる「鳥の目」の視点を論じる評論である。
2019-05-13
中国がやりたい放題の現状は、反基地派といえども認めざるを得ない。
だが、中山市長の容認表明に対する沖縄メディアの反応は厳しかった。
以下は前章の続きである。
石垣の自衛隊配備容認に反発
中国公船「海警」3隻は2017年の元日から尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域に入り、4日には領海侵犯した。
新年早々、挑発行為に出る中国政府の感覚は、平和を愛する私たち沖縄県民の理解を超えている。
だが「今年も一歩も退かないぞ」という中国の強硬姿勢は伝わる。
2016年12月には中国空母「遼寧」が初めて沖縄本島と宮古島間を通過し、太平洋に進出。
艦載機の空中給油訓練などを行った。
中国国営メディアは連日、遼寧の動向を報道し「既に海軍の実戦能力が形成された」と内外に喧伝した。
1月4日の東京新聞によると、中国海軍が2017年用として製作したパイロット募集の宣伝映像に、尖閣諸島を「中国の領土」とし、中国軍機が自衛隊機を立ち去らせているかのような映像が使用されていることも判明した。
大部分は訓練時の映像で、コンピューターグラフィックス(CG)などを組み合わせたものだという。
沖縄周辺での中国の侵略的行動はとどまるところを知らない。
尖閣諸島を行政区域に抱える石垣市の中山義隆市長は12月26日に市役所で記者会見し、防衛省が進める石垣島への陸上自衛隊配備計画を容認すると表明した。
防衛省が2015年11月、市に配備計画を打診してから1年余が経過している。
尖閣諸島をうかがう中国の動向を考えれば、容認表明は遅すぎたほどだった。
中山市長は「南西諸島地域の防衛体制の充実が極めて重要であるという認識を持っている」と語った。
「海警」は中山市長が配備容認を表明したまさにその日も、尖閣諸島周辺海域で領海侵犯した。
配備に反対する野党の市議は「空母の太平洋進出といい、公船の領海侵犯といい、まるで中国が日本の軍国主義化を後押ししているようだ」と天を仰いだ。
中国がやりたい放題の現状は、反基地派といえども認めざるを得ない。
だが、中山市長の容認表明に対する沖縄メディアの反応は厳しかった。
琉球新報は「陸自配備が逆に先島の緊張を高める」、沖縄タイムスは「住民への説明がなく筋が通らない」と、それぞれ社説で批判。
八重山の地元紙、八垂山毎日新聞は、中山市長は配備容認を撤回するか、辞職して信を問うべきだと糾弾した。
私が編集長を務める八重山日報だけが「尖閣諸島をめぐる情勢を考えると、配備容認は適切な判断だ」と強調した。
今後は自衛隊配備問題を軸に、2018年3月ごろに行われる石垣市長選に向け、市長派、反市長派が激しく対立することになる。
小池百合子氏は冒頭に紹介したインタビューで、八重山住民へのメッセージとして「日常生活は目の前だけを見て『虫の目』になりがちだが、時々、『鳥の目』になって(上空から)全体を見ると、毎日見慣れたものに、すごい力があることが分かる」と語った。
世界の中の八重山という「鳥の目」を持ち、沖縄や日本の将来を考え
た選択ができるのか、八重山の有権者が問われることになりそうだ。
この稿続く。