翁長知事と沖縄メディアに問われる法治と現実的解決
2019年5月13日に書かれた本稿は、米軍北部訓練場返還、辺野古移設をめぐる最高裁判決、そして翁長知事と沖縄メディアの対応を通じて、反基地イデオロギーにとらわれた政治姿勢を批判し、法治国家としての原則と現実的な安全保障政策の必要を問う評論である。
2019-05-13
翁長知事は、新聞は新聞、政治は政治と割り切り、最高裁判決が出た上は職を賭してでも政府と協力し、辺野古移設問題の円満解決を図るべきだった。
以下は…月刊誌「正論」2017年3月号…対中最前線 国境の島からの報告…米軍に敵意むき出し…オスプレイ批判の異常…
の続きである。
米軍訓練場の返還にも…
米軍北部訓練場の過半となる約4千ヘクタールの土地は12月22日、沖縄に返還された。
復帰後最大規模の米軍用地返還であり、米軍専用施設の沖縄への集中度は約74%から約70%に下がった。
菅義偉官房長官は返還式典で「基地負担軽減に大きく資する」と強調したが、県紙は「在沖米軍基地機能強化による沖縄の負担増を、返還面積の広さで覆い隠し『負担軽減』と偽装することは断じて認められない」(12月23日付琉球新報)などと返還を全く評価しない姿勢を示した。
来県した菅官房長官に「返還を歓迎する」と述べ、直後に沖縄メディアなどのバッシングを浴びて、慌てて撤回した経緯がある翁長知事は、年末に記者団から返還をどう評価するか改めて問われ「米軍基地の割合は74%から70%ということで、ある意味では変わらない」とそっけなく語っただけだった。
米軍北部訓練場の返還を「負担軽減にならない」とする反基地派のコメントを聞くたびに、私は「米軍基地が沖縄から一挙に消えてなくなる魔法などあるのか」と問いたくなる-1月に就任したトランプ米大統領が決断すれば話は別かも知れないが。
中国は尖閣諸島への攻勢をさらに強めており、在沖米軍基地の重要性はむしろ増している。
こうした国際情勢で負担軽減と抑止力を両立させるには政治的、技術的な名人芸が必要だ。
基地縮小は計画的に一歩ずつ段階を踏んで進めるほかない。
反基地派が叫ぶ「普天間飛行場の無条件即時撤去」など、その意味で不可能だ。
わずか4%、されど4%である。
ヘリパッド移設の条件付きとはいえ、安倍政権は曲がりなりにも基地縮小を実現させた。
既に日米間で合意されているのに、歴代政権が放置してきた案件を果断に前に進めたと評価できる。
重要なのは、これが第一歩になるということだ。
一歩を踏み出さなければ将来の百歩も千歩もない。
沖縄の知事であるならしっかりと返還式典に参加し、日米両政府に謝意を伝え、その上でさらなる負担軽減を訴えるべきだったが、翁長知事は反基地イデオロギーに呪縛され、復帰後最大の米軍用地返還からあからさまに背を向けた。
これが県民の生命財産に責任を持つ首長の、あるべき態度とはとても思えない。
前知事による辺野古沿岸の埋め立て承認をめぐり、最高裁は12月20日、翁長知事の承認取り消しを違法とする判決を言い渡した。
翁長知事はこれを受け、取り消しを撤回したが「国と地方が対等な協力関係にあるとした平成11年の地方自治法改正の趣旨に無理解な判決が下された」と判決を酷評。
知事権限を使って今後も移設工事の阻止に努める考えを示した。
最高裁の判決が出てもなお、政治闘争を継続する知事の姿は、日本の法治国家としての在り方を軽視している。
最高裁判決を報じる県紙は、例によって「不当判決」という抗議の声で紙面を埋め尽くしたが「反日無罪」の中国や韓国ではあるまいし、民衆の反基地感情が最高裁判決に優先することがあっていいわけがない。
翁長知事は、新聞は新聞、政治は政治と割り切り、最高裁判決が出た上は職を賭してでも政府と協力し、辺野古移設問題の円満解決を図るべきだった。
だが、結局ここでも沖縄メディアが主唱する反基地イデオロギーにからめ取られてしまった。
この稿続く。