ヨーロッパの事例からこれらは明らかであるはずなのに、日経は外国人受け入れのマイナス面から目をそらし、とにかく外国人を受け入れれば成長するんだと繰り返す。

以下は9/1に我が家に届いた定期購読月刊誌テーミスに掲載されている、飯山陽さんの連載コラムからである。
飯山陽さんが言論界に彗星の如く登場した気鋭の女性学者であることは既述の通り。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
見出し以外の文中強調は私。

日経新聞ー「外国人労働者」で経済成長鼓吹は「国」を謬る
外国人は1年で29万人も増加 
日本人が減っている。 
総務省が7月26日に発表した人口動態調査によると、日本人は1億2千242万3千38人で前年から80万523人減った。
減少幅は1968年の調査開始以来最大となったという。
総人口は昨年1年間に51万人減少したが、内訳をみると、日本人が80万人減ったのに対し外国人は29万人増えている。
日経新聞はこれを「日本人、全都道府県で初の減少 外国人299万人が底支え」という見出しで報じた。
冒頭には次のようにある。 
「人口減が進む日本で外国人の重みが増している。2023年1月1日時点の日本人人口は1973年の調査以降初めて全都道府県で前年より減った。出生率が高い沖縄も初めて減少に転じた。外国人の人口は過去最多の299万人に増え、経済や社会の担い手として日本を底支えしている」 
なるほど、日経によると我々の国である日本を底支えしてくれているのは今や、外国人だというわけだ。
日経は「経済・社会を動かし成長を続けるには、日本で能力を発揮したいと望む外国人との共生が欠かせない」「政府の目指す成長シナリオを40年に達成するのに必要な外国人労働者は20年の4倍近い674万人」「15歳未満の人口が先細り将来の働き手の確保が急務である状況は変わらない」と畳み掛ける。
日経の主張は単純明瞭だ。
日本人が減っている、これからも減る、だから外国人をどんどん入れて不足する労働力を補えばいい、というわけだ。 
しかしこれはかなり疑わしい。
日本人が減った分を外国人で補えば、日本人の割合は減る。
日本語を話せず、日本の常識を共有しない人が増えれば、日本社会は自ずと変質する。
その変化は必ずしも好ましいものばかりではない。 
大量の移民を入れて社会が変質した例はヨーロッパ諸国に多く確認することができる。
フランス国立統計経済研究所(INSEE)が23年3月に発表した最新のデータによると、フランスの総人口6千760万人のうち10.3%を移民1世、10.9%を移民2世、10.2%を移民3世が占めている。
移民および移民系がすでに人口の3分の1を占めているのだ。歳
同データは、移民1世の半数がアフリカ系であること、0歳から4歳の子供の約40%が移民系で、約30%が3世代にわたり非ヨーロッパ系であること、総人口の10%がイスラム教徒であることなども明らかにしている。 
毎年約40万人の移民を受け入れているフランスには、この人口動態の大きな変化を「大置換」と呼んで危惧する人々と、そう呼ぶのは差別であり杞憂に過ぎないと更なる移民受け入れを推進する人々がいる。
政治力を持つのは後者だ。 

「地球が丸い」と教えられず?! 
大置換の影響は社会のあらゆる面に及んでいる。
22年にフランスで出版された『Ces petits renoncements qui tuent(小さな断念が人を殺す)』という本では、フランスの教育現場にイスラム主義エデオロギーが浸透している実態を教師が匿名で告発している。 
地理の授業では「地球は丸い」と教えることはできない。
というのもイスラム教徒の生徒曰く、イスラム教では地球は平らだと教えているからだという。
それでもあえて教師が「地球は丸い」と教えれば、教師が危険に哂されるというわけだ。
同様に、生物の授業で、進化論を教えることにも危険が伴うという。 
20年の世論調査では、25歳以下のフランス人イスラム教徒の74%が、フランス共和国の法律よりもイスラム法を優先すると回答している。
この割合は25歳から34歳では42%、35歳以上では25%となっている。
イスラム法規定とフランス法規定は自由や平等、権利等、多くの点において根本的に矛盾する。 
フランスで生まれたフランス人である若い世代ほどイスラム的価値観を絶対視する傾向があるという現実は、移民は世代を経れば受け入れ国に馴染むだろうという楽観を裏切る。
国家への帰属意識や遵法精神は、その国で生まれ、その国の目籍を持てば自動的に身に付くものでは決してない。
フランス国内には750以上の立ち入り禁止区域、いわゆる「ノー・ゴー・ゾーン」が存在し、そこでは略奪や放火、ケンカといった暴力事件が頻発しているが、警察が取り締まることはまずない。
フランス法の支配の及ばない「無法地帯」が拡大している。 
日経によると、2067年には日本の総人口の10.2%が外国人になるらしい。
移民系が人口の30%を占めるフランスの現状は日本の近未来だ。 
外国人受け入れは利益と同時に不利益ももたらす。
そもそも日本に貢献しようなどという気はない外国人もいるだろうし、日本に貢献しようとやってきた外国人も、仕事や勤労意欲を失うかもしれない。
当初日本に貢献していた外国人も、加齢や病気により日本の福祉を頼みにするかもしれない。
そうでなくとも、人は必ず歳をとっていつかは死ぬ。 

イスラム教徒が土葬墓地を求め 
外国人の中にはイスラム教徒のように、土葬必須という宗教教義の実践を貫こうとする人もいる。
大分県日出町のように、土葬墓地建設を求めるイスラム教徒と地元住民の間で長く対立が続くケースもすでにある。
日本で今すでに受け入れが進んでいるインドネシア人労働者の90%以上はイスラム教徒だ。 
外国人を受け入れれば、一時的には「安い労働力」として日本経済にプラスの効果をもたらすだろう。
しかし長期的にみれば、外国人を受け入れることにはさまざまなコストがかかり、治安悪化、公教育のレベル低下、地域の分断、賃金引き下げなど一般国民が被る不利益は計り知れない。 
ヨーロッパの事例からこれらは明らかであるはずなのに、日経は外国人受け入れのマイナス面から目をそらし、とにかく外国人を受け入れれば成長するんだと繰り返す。
彼らにとって重要なのは「安い労働力」を欲する企業や資本家であり、一般国民などどうでもいいという証左だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA