李栄薫氏への無礼な質問が露呈した日本メディアの低級さ――文在寅政権と反日教育の本質

2020年1月5日発信。月刊誌「正論」に掲載された久保田るり子氏の論文「左派メディアの歯ぎしり」の続きとして、李栄薫氏の来日会見における産経新聞、共同通信などの質問を紹介する。徴用工賠償判決、旭日旗問題、文在寅政権と与党「共に民主党」の反日的出自、三・一独立運動をめぐる党綱領の背景を解説し、日本メディアの自由な言論活動への無理解と低級さを批判する。

2020-01-05
実に、著者への敬意というものを欠く質問だった。
「自由な言論活動」に無理解という意味で日本メディアの低級さを露呈した観があり、身の縮む思いがした。
以下は前章の続きである。
与党綱領で文政権を解説
一方、産経新聞記者は、徴用工賠償判決に関して現在進行形の日韓問題への見解を求めた。
「日韓関係悪化の原因となった大法院判決の判決文について、本では『これは事実関係がウソである。
検証のしようがない』と書いておられます」と切り出した。
大法院判決は、大日本統治時代に旧新日本製鉄で慟いた四人の原告が慰謝料を請求した裁判で、原告が「月給を強制貯蓄させられ寄宿舎の舎監が賃金を返してくれなかった」とした基本的事実関孫をもとに、1人約1千万円の慰謝料支払いを命じたもの。
しかし、李氏は本の中で「この事実関係は立証されていない。
舎監も取り調べていない。
従って原告の主張は成立しない」と指摘している。
記者は続けて、「改めて大法院判決についてご意見をお聞かせください」「また韓国世論は旭日旗を東京五輪に持ち込むべきではないと主張しているが、これも種族主義なのでしょうか」と聞いた。
李氏の答えは文政権の本質への言及だった。
「昨年10月の判決はこれまでの一年問、日韓関係を確かに悪化させました。
これは文在寅政権の強い反日の対応から導き出された判決です」とした上で、「韓国の与党『共に民主党』の党綱領を紹介します。
党綱領には『我々は三・一独立運動の抗日精神を継承する』と書かれています。
いまの文政権や与党を構成しているのは、小さいときから反日精神を訓練されてきた人々なのです」
回答には若干の解説が必要だ。
党綱領にある「三・一独立運動の抗日精神」とは、日本統治時代(1910~45年)の19年3月一1日に起きた最大の抗日運動のことで、この日、ソウル中心部のタプコル公園(現在のパゴダ公園)で宗教指導者らが「独立宣言」を行い、万歳三唱したことに始まったことを指している。
「独立宣言」には、にわかに数千人が集まってソウルは騒乱状態となり抗日デモは全国に広がった。
暴徒となった一部は役場や警察、学校を襲撃した。
騒乱と鎮圧の攻防は約2ヵ月続き、日本側は軍、警察を動員して鎮圧したため流血事件も多く発生した。
事後、日本は6,500を起訴、約4,000人を有罪としたが、日本政府は死刑などの極刑は科さなかった。
逮捕を逃れるため李承晩や金九など活動家や民族主義者らが中国に逃れ上海に集合、「大韓民国臨時政府」を名乗った。
文政権と与党「共に民主党」は上海に逃れた臨時政府こそが自分たちのルーツで、日本の敗戦と米軍占領を経た現在の韓国(大韓民国)の建国(1948年8月15日)を「親日派と米国によって作られたもの」として否定的に捉えている。
李栄薫氏は文政権の出自を与党の党綱領を紹介することで説明した。
1919年3月1日の抗日精神を建国の正統性と謳っている文政権は、日本統治時代に日本企業で労働した朝鮮人労務者のすべてを「強制労働」による「徴用工」と決めつけており、慰安婦は性を略奪された「性奴隷」との価値観に立つ偏った人々ということだ。
現代の大韓民国を思想的に否定する文政権は、日韓関係が基礎としてきた65年の日韓国交正常化や日韓請求権協定を「親日派による間違った歴史」とみる、「小さいときから反日精神を訓練されてきた人々」というわけである。
李氏は続けた。
「だから2018年10月の徴用工賠償判決はそのような背景から出たものなのです。
旭日旗に対する反応も文政権の与党による強い反日感情が生み出したものなのです。
(韓国に)1950年代から90年代まで、そういった反日感情はなかった。
90年代以降に湧き上がってきた強い反日感情が今の韓国政治を動かしていることを理解していただけると嬉しいです」
本の中身や文政権の背景に話しが及んで会場の対決ムードは解消したかに思えたが、次にまた偏向質問が飛び出した。
共同通信の記者がいささか挑発的にこう尋ねた。
「この本はどういう読者を意識して書いたのでしょうか。
韓国ではどういう読者、日本語版はどういう読者でしょうか。
いまの文政権を支持する層に『嘘つきだ』といっても説得はできないでしょう。
敵を説得する議論になっているのか、なっていないのではないか。
結局、仲間のために書いたのではないかと思ってしまうが‥」と「日本に向けてはどういう読者に向けて書いているのか、いまのところ保守系メディアで取り上げられているが、それでは言論として広がっていかないのではないかと思う。
どういう読者に、誰に向かって説得しようとしているのか」と聞いたのだった。
実に、著者への敬意というものを欠く質問だった。
「自由な言論活動」に無理解という意味で日本メディアの低級さを露呈した観があり、身の縮む思いがした。
日本語を解する李氏は質問の意味を即座に聞き取ったはずだが、通訳を介して聞き直し、何事もなかったかのように話し始めた。
「『反日種族主義』をどんな読者、対象に向けてかということですが、正直に言いまして、そういう考えをしたことはありません。
韓国人全体に向けて書いたものです。
韓国人が知っている歴史観のどこに問題があるのか指摘した、ということです。
その病の根源を読んでもらいたかったのが出発点です。
韓国の書店の分析では本を買っている人たちに30代が多いそうです。
韓国で30代、40代は反日教育を受けており、50代、60代より、反日感情を持っています。
私は、歴史はゆっくりした速度で進歩しているとみています。
日本の読者層についても考えたことはありません」

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