地球を死の星にする「CO²悪玉説」――EUの巨額温暖化予算とパトリック・ムーアの異説
2020年1月25日発信。月刊誌Hanada掲載の九段靖之助氏の連載コラムを紹介し、EUの地球温暖化対策予算、COP25での日本批判、そしてCO²を地球温暖化の犯人とする通説に疑義を呈するパトリック・ムーア氏の論文を取り上げる。CO²は生命体の食糧であり、濃度低下こそ地球を死の星にする可能性があるという異説を紹介する。
2020-01-25
ドイツ人記者は言う。
「EU加盟国で分担するにしても、わがドイツを含めて、そんな巨額の費用はどこの国も負担できないでしょう」
以下は昨日発売された月刊誌Hanada今月号に掲載されている九段靖之助の連載コラムからである。
九段靖之助とは戦後世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之のペンネームらしい。
地球を死の星にする「CO²悪玉説」
さきごろEU委員長に就任したフォン・デア・ライエン(前独国防相)は、地球温暖化対策に一兆ユーロ(約百二十兆円)の予算をつけると発表した。
ドイツ人記者は言う。
「EU加盟国で分担するにしても、わがドイツを含めて、そんな巨額の費用はどこの国も負担できないでしょう」
さきのCOP25は「このままで推移すれば、地球温暖化は産業革命の時代から摂氏三度は上がる。よって今世紀末までにCO²排出ゼロを目指す」と官言した。
この会議で、石炭火力発電所を新設した日本は「化石国家」と非難された。
ことほど左様に地球温暖化の犯人は二酸化炭素だとする「CO²悪玉説」が世界の通説となっている。
ところが、この通説に根本的な疑義を唱える学説がある。
以下、渡辺惣樹著「アメリカ民主党の崩壊 2001-2020」から要約して引く。
二〇一六年六月、『人類の二酸化炭素排出が地球の生存に及ぼすポジティブな効果』と題する科学論文が発表された。
執筆者のパトリック・ムーアはグリーンピース・カナダの共同創設者で、いうなら環境保護運動の過激派だった。
そのムーアが言う。
「地球温暖化は全くのでっち上げ。人々の心に恐怖心を植え付け、人権と自由を制限するために捏造された代物である。それにグリーンピースも加担している始末だ」
ムーアの主張は、地球温暖化の議論を超えた根源的なものだった。
地球の生命体すべてが大気中の炭素(CO²)に依存していることをあらためて指摘し、生命体の『食糧』であるCO²が一定基準以下になれば、地球は死の星となると説いた。
現在の大気に存在するCO²はわずか400ppm(大気中の0.04%)に過ぎない。
植物が生存するために必要なCO²の下限値は150ppmで、ここまで下がると植物は取り込む食糧(CO²)が不足して「餓死」を始める。
この地球に生物が爆発的な広がりを始めたのは古生代カンブリア紀(約五億四千万年前)で、この時期の大気中のC0²濃度は7000ppmと推計され、現在の17倍の食糧があった。
古生代が終わるころ(約二億四千万年前)には植物が食糧を食べ尽くし、大気中の濃度は現在とほぼ同じ400ppmにまで低下した。
濃度低下の原因は、当時の微生物が大量の倒木を分解する酵素を持たず、ために樹木が取り込んだCO²が固定化されて大気中に還元されない。
倒木は分解されないまま厚い層を形成し、それが熱と圧力で炭化(泥炭)していった。
幸いにも中生代三畳紀(約二億四千万年前)に至って微生物が分解酵素を持ち、CO²濃度は回復し始め、中生代ジュラ紀(約二億年前)には2500ppmに回復した。
ところが白亜紀(一億四千万年前)から一貫して減り続け、北極圏の氷層ドリル調査で一万八干年前には180ppmにまで下かっていることが確認されている。
もう少しで生物生存の下限値150ppmに達するところだ。
CO²は水に溶けやすい。
地球温暖化で海水の温度が上がり、溶け込んでいたCO²が大気に放出された。
一万年前には260ppmに、産業革命のころには280ppmに増加し、その後、化石燃料の使用でようやく400ppmに戻った。
ムーアは言う。
「次にやって来る氷河期において、海水温度の低下でCO²濃度が180ppm以下に下がる怖れがある。そうなった場合、人問の生産活動によるCO²排出で補わなければならない。そうすれば農業生産を維持できる程度のCO²を確保できるかもしれない」
さらにムーアは言う。
「植物の成長には1000ppm以上のCO²濃度が必要で、地球の歴史のほとんどがそうした濃度の環境だった。人間の活動によるCO²の排出がなくなった場合、CO²が限界レベル(150ppm)にまで下がる可能性がある。C0²悪玉信者はこれを止めるシナリオを持っているのか。そこまで下がれば、植物は餓死し、地球から生命が消える」
この論文が出たころ、アメリカは大統領選の真っ最中。
トランプが読んだかどうかはともかく、彼は早くから「地球温暖化の嘘」に言及していた。
「地球温暖化(CO²悪玉説)は米国製造業から競争力を奪うために中国が創造した嘘である」(2012年の発言)
よって大統領に就くや「パリ協定」から離脱した。
日本は「化石国家」と罵られたが、ムーアのような異説もあることを知っておいたほうがいい。