朝日新聞の一貫性欠如が露呈したソレイマニ殺害報道
2020年1月27日発信。令和以降の朝日新聞の紙面劣化を、米軍によるソレイマニ司令官殺害報道を例に検証する。朝日自身の記事が、トランプ政権の軍事行動を「米国民殺害への反撃」と説明する一方、別記事では「選挙対策」と断定しており、その一貫性の欠如を批判する。
2020-01-27
それがいまやガタガタに崩れ、支離滅裂な紙面構成や信じられない大誤報を露呈してきたのである。
以下は前章の続きである。
一貫性の欠如
令和の新時代、朝日新聞はどうなったか。
二〇一九年五月一日の令和の始まり前後から現在までの朝日新聞の特徴を、具体例によって指摘することが本稿の主目的である。
朝日新聞の最近の傾向で目立つのは、紙面の極端な劣悪化である。
年来の朝日は偏向や誤認は多々あってもマスメディアたる新聞としての一定の品質があった。
それがいまやガタガタに崩れ、支離滅裂な紙面構成や信じられない大誤報を露呈してきたのである。
ごく最近の紙面でのアメリカとイランの衝突の報道を、まず実例にあげよう。
二〇二〇年一月はじめ、米軍がイランの革命防衛隊の対外特殊工作部門のソレイマニ司令官を殺害した。
トランプ政権がその攻撃の決定を下した直接の理由は、同司令官率いる特殊工作部隊が長年、中東での米軍将兵やアメリカ関連施設の攻撃にかかわり、多数の死傷者を出してきたことにある。
加えて昨年末には、同部隊の支配下にある武装組織がイラク国内の米軍施設を攻撃し、米軍軍属を1人殺した。
トランプ政権にとって、軍事行動を取るための境界線「レッドライン」はアメリカ国民の生命が奪われることである。
ソレイマニ司令官殺害もそのアメリカ国民の殺害が理由だったことは、朝日新聞のワシントン発の一月五日朝刊の記事で客観的に報じていた。
《国務省高官も「数百人もの米国民の生命を救うための措置だった」と述べ、殺害はイランへの宣戦布告ではないと強調した。トランプ政権がこうした姿勢を取る背景には、米国民の多くが戦争に反対し、トランプ氏自身も望んでいないという事情がある。米国では泥沼化したイラク、アフガニスタン戦争の影響で厭戦気分が根強くあり、トランプ氏も前回の大統領選から「バカげた終わりなき戦争を終わらせる時だ」と、米兵の帰還を公約に掲げてきた》
《再選を目指す11月の大統領選を控え、その(終戦への)姿勢は強まっている(中略)。だが昨年12月27日に米国民がイラク国内のロケット弾攻撃で殺害されると、トランプ政権は対応を一転させ、空爆を開始》
以上を要約すれば、「トランプ大統領は本来、イラク、イランなどへの軍事介入は大統領選への影響も考えて望んではいないが、今回はイラン側によるアメリカ国民殺害にやむをえず反撃した」という解釈になる。
ところが朝日新聞は、他の記事ではまったく異なる解釈を繰り返し伝えた。
一月四日夕刊のコラム「素粒子」の記述が典型だった。
《またか、権力が選挙を前に対外危機を仕掛け、国民の目を疑惑からそらす。トランプ氏に限らず、よくある手口》
「トランプ大統領は再選のためにイラクを攻撃した」あるいは「弾劾騒動から国民の目をそらすためだ」という断定である。
もし再選のためならば、イラン攻撃がアメリカ国民の多くの支持を得ることが前提だろう。
だが、前掲の朝日自身のアメリカ発の記事は、トランプ大統領自身は攻撃を望んでいないことを詳しく説明している。
同じ朝日新聞の一方の記事が今回のイラク攻撃は「選挙のため」と書き、他の記事が「選挙のためではない」という趣旨を書いているのである。
一貫性の欠落、つまりは支離滅裂だといえる。
この稿続く。