告発によって暴かれた「仮面をかぶった大統領候補」――韓国政治における権力とパワー・セクシュアル・ハラスメント

韓国の次期大統領候補と目された安煕正・忠清南道知事が、女性秘書らによるパワー・セクシュアル・ハラスメントの告発を受けて失脚し、実刑判決が確定した経緯を記録する。告発がなければ「仮面をかぶった大統領」が誕生していたかもしれないという、韓国政治の権力構造に対する厳しい論評である。

本稿は前章から続く一連の論考であり、韓国で次期大統領候補と目されていた政治家たちが、部下である女性秘書からのパワー・セクシュアル・ハラスメントの告発によって相次いで失脚した問題を取り上げたものである。安煕正については、2019年9月9日付『日本経済新聞』の記事を引用し、その政治的地位と失脚の重大性を記録している。
2020年9月7日
以下は前章の続きである。
文在寅の頬をペロリと
文在寅与党所属の首長のパワセクとしては、安煕正・忠清南道知事も韓国に大衝撃を与えた。
彼は「共に民主党」(以下、民主党と略す)の大統領候補決定選挙で、最後まで文氏と争って敗れた。
しかし、大統領選挙本番で文氏が当選を決めるや、祝典会場の演壇に立つ文氏に近づき抱きしめ、文氏の頬をベロリと舐めた。
気持ち悪い、虫唾が走る。この男、ホモなのかと思った。
が、韓国の受け止めは「競り合った先輩にすがすがしく祝福」といったものだった。
なるほど、「文化が違う」のだ。
彼にホモ気があるのかどうかは定かでないが、彼が失脚したのは「MeToo運動」が盛り上がるなかで、女性秘書がパワセクを告発したことだった。
彼は告発女性を“悪女”に仕立てようと画策した。
パワーを持つ側の常套手段だが、別の女性からもパワセク告発が出て勝負あり。
19年9月に最高裁で実刑が確定した(この段階では、最高裁はまだ「新権力集団」に呑み込まれていなかったと言えるのかもしれない)。
実刑確定を報じた日本経済新聞(19年9月9日)にこうある。
「文氏より10歳以上若く、端正な顔立ちで女性ファンも多く、『ポスト文氏』の最有力候補の一人だった」
次期大統領候補と言われた二人の政治家が、いずれも部下の女性秘書に対するパワセクにより消えた。
告発がなかったなら、この二人のうち、どちらかが「仮面をかぶった大統領」になっていたかもしれない。
韓国とは、本当に恐ろしい国だ。
この稿続く。




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