衆院選前には、「裏金議員」一覧を紙面に掲載するなどした。 これは、事実に反する「報道冤罪」にほかならない。

以下は2024/12/30に産経新聞に掲載された原英史政策シンクタンク代表の論文からである。
本論文は彼が本物の知識人であることを証明している。
読者は彼の事はご存じのはずである。
彼が社長、高橋洋一氏が取締役でもある。
日本最強の政策シンクタンクである事は言うまでもない。

「裏金」というレッテル
いわゆる「裏金」問題に火が付いたのはもう1年ほど前だ。
いまだに鎮火のめどが立たない。
衆参両院の政治倫理審査会が開催され、関係議員らが弁明を続けている。
しかし、主要紙報道を見ても、これで一件落着とはなりそうにない。
なぜこんなにこじれてしまったのか。
まず、「裏金」問題という呼び方が間違っている。 
「裏金」とは、広辞苑によれば「公式の帳簿に記載しない、自由に使えるように不正に蓄えた金銭」を意味する。
この間、東京地検捜査や自民党調査で、私的流用や不止蓄財は判明しなかった。
多くは派閥の指示に従って不記載にしていただけだ。
これは「裏金」に当たらない。 
ところが、朝日・毎日新聞など一部メディアは、「裏金議員」とのレッテル貼り報道を続けた。
衆院選前には、「裏金議員」一覧を紙面に掲載するなどした。
これは、事実に反する「報道冤罪」にほかならない。
結果として、選挙で厳しい審判を受ける「冤罪被害者」らも続出した。 
石破茂首相は国会で野党の追及に対し、たびたび。「『裏金』は決めつけだ。不記載だ」と切り返している。
しかし、実際には、一部メディアに引きずられ、「裏金」追及を増幅してきたのは石破首相自身だ。 
衆院選の際は、旧安倍派(清和政策研究会)と旧二階派(志帥会)の「不記載」議員は、非公認や比例名簿不掲載の対象とした。
単なる「不記載」ならば、旧石破派(水月会)や旧岸田派(宏池会)にもあったが、それとは異質の「悪い不記載」と扱ったわけだ。 
今回の政倫審への出席要請も同様だ。
両派の問題が「裏金ではなく不記載」というなら、他派閥や立憲民主党などの「不記載」も同様に扱わなければおかしかった。
結局、政権が自ら「単なる不記載ではない」ことにしてきた。 
一部メディアと政権の暗黙の連携プレーでこじれた問題をどう解決したらよいか。
政権が愚直に真相を明らかにすることだと思う。 
収入の一部を不記載にして還付する仕組み自体は、普通に考えれば「裏金」を作る手段にしが見えない。
だが、この仕組みを誰が何のために作ったのか、過去に「裏金」として利用されていたのかなど、真相は何ら明らかになっていない。
自民党執行部は、真相は明らかにしないまま、周りで巻き込まれただけの議員たちに、いわば連帯責任として、不当に過大な処分を科してごまかしてきた。
こんなおかしな対応だから、自民党、さらに政治全体への不信が収まらない。 
石破首相は総裁選の際、関係議員「一人一人と向き合い」徹底的に議論すると唱えていた。
今からでも遅くない。
真相を明らかにしそろそろ鎮火すべきだ。

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