この正義派の中核をなすのが総勢135万人の弁護士軍団だ。 彼らは日本企業と同様に米企業もいい加減な訴因で訴えて潰し、多くの失業者を出した。彼らは政界にも出た。
以下は、2024/12/26に発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
トランプの春
ホメイニ師の革命政権はイランの民に敬虔なイスラム教徒になれと命じた。
酒はダメ、化粧もデートもダメ。
不倫をしたらホントに死刑にされた。
そんな苦痛の代償はというとイスラエルを滅ぼしてイランをイスラムの盟主にすることだった。
でもイラン人は元々ゾロアスター教徒だ。
イスラムは大嫌いで、チャドルなど被りたくもなかった。
ではなぜ嫌いなイスラム坊主政権が出来たのか。
実はホメイニ師が国外追放中にイスラム狂信者集団がこっそり支配ネットワークを構築していた。
そしてパーレビ皇帝が追放され、ホメイニ師が帰国するのを待って決起した。
役所から企業、大学、警察に至るまで彼らの分子が乗っ取った。
彼らはアンジョマネーイスラム(イスラム協会)を名乗り、逆らう者はアラーの名のもと追放か時には処刑する権利を持っていた。
対外的には秘密にされた彼らの存在を偶然、知る機会を得た。
夫婦以外の異性との接触をアラーは禁じる。
では女医は男の患者をどう診るか。
それを聞きに病院の院長室を訪ねた。
二階に上がって大きなドアを開けたら髭面の男三人がいぎたなく寝そべっていた。
院長は隣の小部屋にいて「彼らがここを仕切る狂信者たちだ」と教えてくれた。
元はウチの用務員だったと付け加えた。 同じようにメリ大学は元実験室の用度係が、自動車会社パロス・ホドロも元組立工が牛耳っていた。
この狂信者集団を抜きにイスラム政権は維持できない。
それを新聞に書いた。
日本大使館からすぐ「国外追放される」「体制に触れるな」と忠告された。
暫くして記者証が取り上げられ、とどのつまりは追放された。
その後、ロス特派員に出た。
米国はまだまともな民主国家で報道も自由だろうと思っていたら違った。
ここにもアンジョマネみたいな組織があった。
ただアラーではなく「正義」が錦の御旗だった。
仕切りはイランと同じで、O・J・シンプソンが元妻ら二人を殺しても彼らが無罪にした。
NECが、パソコンに負荷をかけてもフロッピーディスクドライブ(FDD)を守る装置を付けた。
東芝製品にはそれがない。
故障を起こす欠陥品ではとその正義派が訴えた。
デルやHPもそんな装置はないけれど、東芝だけを訴えた。
日本人嫌いのヒューストンでの裁判は白人の正義が通って東芝は1100億円を取られた。
同じ正義派の弁護士大統領クリントンは直々にイリノイに出た三菱自工をセクハラで訴えた。
「日本は女性蔑視が国是」という偏見にたった上での訴訟だが、米紙はその非常識を指摘するどころか一緒に囃し立てた。
連邦議会の女性議員が不買運動を提唱するに及んで三菱は49億円払って頭を下げた。
この正義派の中核をなすのが総勢135万人の弁護士軍団だ。
彼らは日本企業と同様に米企業もいい加減な訴因で訴えて潰し、多くの失業者を出した。
彼らは政界にも出た。
弁護士大統領は南北戦争をやったリンカーンの昔から戦争好きが特徴で、米市民を大量に死なせてきた。
トランプは初めて戦争をしない大統領になったが、それを弁護士軍団は好ましく思わなかった。
FBI長官のC・レイもその一人で、遊説中のトランプの狙撃犯を故意に見逃して発砲させている。
彼はいわゆるティープ・ステートの一員で、トランプが大統領に就任すればすぐクビになる。
ロス特派員時代、そういう正義漢ヅラして悪さをする弁護士の所業を取材して新聞に連載した。
そしたらすぐ日本大使館から「国外追放される」と警告された。
イランの時と同じだった。
しかし米国はトランプを選んで返り咲かせた。
米国でも立派にやれた。
イスラム坊主政権に苦しむイランだってやればきっとできる。