地球温暖化、排出権、EV、太陽光パネルを結ぶ中国の戦略――モーリス・ストロングとアル・ゴアが広めた「不都合な真実」
地球温暖化、排出権、EV、太陽光パネルを結ぶ中国の戦略――モーリス・ストロングとアル・ゴアが広めた「不都合な真実」
私は、本章は日本国民のみならず、世界中の人々に再読の要があると確信する。
特に、政治家と、世界中のマスメディアで生計を立てている人々には必読である。
本論文は、高山正之氏が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。
同時に、今の世界でノーベル文学賞に相応しいのは同氏を措いてほかにいないことも示している。
本章は、これまで次のタイトルで発信してきた。
2021年10月21日発信時のタイトル:「氏は気候モデルを作ったつもりが、それを詐欺のネタにされたことにちょっと割りきれない風に見えた。」
2021年11月16日再発信時のタイトル:「首謀者である中国が、自ら自分達が作り上げた嘘の破綻を満天下に晒したのが今回のCOP26の結果である事にすら」
2022年11月21日再発信時のタイトル:「彼はこのときから支那と組んで『環境保護を口実に先進国の産業を弱体化させ、環境でカネ儲けする』作戦を始めた。」
なお、2022年11月21日の旧題にある「彼」は、モーリス・ストロングを指している。
今回は、2024年1月3日付の掲載文の重複と表記を整理し、改めて発信する。
以下は、『週刊新潮』に掲載された高山正之氏の連載コラム「変見自在」、ノーベル賞的詐欺、からの引用である。
見出し以外の文中強調は私。
ノーベル賞的詐欺
ネブラスカは昼は暑く夜は寒い。
天気も変わりやすく、だから育つ人間も気分屋が多い。
その代表がアンナ・ルイーズ・ストロングと言われる。
シカゴ大で共産主義を知ると、頭からのめり込んで、思い立つままソ連に飛んでいってしまった。
颯爽としたアメリカ女は使える。
スターリンも彼女の好きに任せた。
当時、ウクライナの大飢饉やら粛清やらが大流行りだったが、彼女にはそれは見えない。
モスクワで英字紙を出して共産主義万歳を唱え続けた。
気分屋アンナはそのうち支那の毛沢東にも興味を持ち、重慶で周恩来に会い、延安も訪れている。
最前線を見たいという彼女に、毛が鄧小平宛てに「いい宣伝になる。丁重にもてなせ」と命じた文書が今に残る。
そんな待遇が気に入ったのか1958年、アンナはソ連を捨てて北京に棲みついてしまう。
支那こそ理想の共産主義国家と信じてのことだろうが、その年、毛は3000万人を餓死させる「大躍進」を始動する。
同時にチベットでは支那侵攻に抵抗する数万の民を殺戮するよう命じた。
彼女は血糊がまだ乾かぬラサを旅しながら「支那では罪を犯した者を処刑せず追放もしない」と毛を持ち上げる発言をしている。
嘘に躊躇いを見せない共産主義者らしい口ぶりだが、そう言い切るのは彼女の甥モーリス・ストロングのためと言われる。
おかげでカナダ生まれの甥は叔母を通して支那の支配階級に深く食い込んだ。
アンナが亡くなった2年後、モーリスは国連に入ったばかりの支那の後押しで国連環境会議の事務局長に就任する。
彼はこのときから支那と組んで「環境保護を口実に先進国の産業を弱体化させ、環境でカネ儲けする」作戦を始めた。
きっかけとなったのは当時、プリンストン大で発表された「放射収支」理論。
地球が太陽から受ける熱量と地球が発散する熱量を測ってみたら驚くなかれ、地球の放出量が多くて地球は平均零下17度になる。
それが平均15度に保たれているのは大気中に僅か0.03%含まれるCO₂のおかげだという話。
そこから導かれる結論に、もしCO₂が増えれば温暖化が急速に進むだろうという想定があった。
支那人とモーリスはそれだけで詐欺話をプロットした。
多量のCO₂を出す先進工業国は後進国から排出権を買うがいい。
ただし世界の3分の1を出す支那は後進国扱いで適用から外した。
詐欺立案国の特権だった。
モーリスはアル・ゴアを仲間に入れ、温暖化はもはや現実だ。
北極海のシロクマは死滅し、キリマンジャロの雪は消えると『不都合な真実』で映像化した。
すかさずモーリスと支那は第二弾を出した。
「車はCO₂を出さない電気自動車(EV)の時代だ」がそれだ。
EVは電池で走る。
それに欠かせないのがレアメタルのネオジウムで、それは内モンゴルにしか産しない。
支那の独り儲けになる。
「でもEVにしたら大量の電気がいる」には「支那製太陽光パネルを用意しています」と。
トヨタを筆頭とする日本の精緻な内燃機関はもう必要ない。
レアメタルと安いモーターで支那が世界を牛耳ろうという戦略だ。
しかしアル・ゴアの予言から随分経つが、シロクマはむしろ増え、キリマンジャロにも雪は降り続く。
みんなが首を捻り出したころ、モーリスは国連を舞台にした別件の詐欺で手配され、叔母と同様、支那に逃げこんだ。
そして環境をネタにした詐欺師は何も語らないまま鬼籍に入ってしまった。
プリンストン大上席研究員の真鍋淑郎氏がノーベル物理学賞を受賞した。
授賞理由が「気候変動の予測」と聞かされて「そっちですか。驚きです」と正直に語っていた。
氏は気候モデルを作ったつもりが、それを詐欺のネタにされたことにちょっと割りきれない風に見えた。