「きょうの私のテレビ映りはどうだった」――小池百合子氏の政治姿勢と、「映え」で政治家を評価する危うさ

2024-02-22

「きょうの私のテレビ映りはどうだった」「どんな印象を受けたかしら」 
2021年01月08日
以下は今日の産経新聞に掲載された阿比留瑠比の論説からである。
彼は現役最高の記者の一人である。
この記事を読んだ有数の読書家である友人が、「小池の顔相は、蛙の面にしょんべんだよ」と言って来た。
至言であろう。

「映え」に徹する小池都知事
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令が決まった7日の朝も都心へと向かう通勤電車は満員だった。
小池百合子東京都知事が主導・演出した首都圏1都3県の知事の要請に押し切られたような宣言に、実効性はあるだろうかと電車に揺られつつ改めて考えさせられた。 
果たして、大きな経済的假失や社会ストレス増と閉塞感に見合う対価は得られるのかー。
ともあれ、この日もテレビのワイドショーなどで、主役然として一挙手一投足が取り上げられていた小池氏のことである。

防衛相時代の電話 
第1次安倍晋三内閣当時の平成19年7月、女性初の防衛相に抜擢された小池氏は就任後、早速マスコミをにぎわす騒動を起こす。
当時の守屋武昌事務次官に対し、手続きを踏まずにいきなり退官を申しつけ、これに抵抗する守屋氏とのパドルが勃発したのだった。 
この頃、深夜の零時前後に幾日か連続して小池氏から電話がかかってきたことがあった。
初めは何事かと思って身構えたが、中身は毎度こんなふうだった。  
「きょうの私のテレビ映りはどうだった」  
「どんな印象を受けたかしら」 
ばからしいので生返事で済ませていたら、電話は途絶えた。
小池氏の政治スタイルがうかがえたが、小池氏は結局、就任2ヵ月足らずで辞意を表明する。
小池氏は目立ち、自身のキャリアには箔をつけただけで、防衛政策・行政面では特段成果を残さずに去った。 
今回のコロナ禍への対応に関しても、小池氏の立ち居振る舞いからは同じにおいが漂う。
小池氏が7日午前零時過ぎに、埼玉県の大野元裕知事と緊急会談を開いたことについても、自民党幹部はあきれていた。  
「小池さんは常に自分が映えるように動くし、それに徹している。人物を評価するかは別にしてすごい」 
いっそ潔い政治人生だともいえるが、日本新党、新進党、自由党、保守党、自民党と渡り歩いて東京都知事に転じ、希望の党を設立して何が残ったか。
実績といえば、提唱した「クールビズ」が定着したことぐらいしか思い浮かばない。

突如「ロックダウン」 
小池氏は、前回の緊急事態宣言が昨年4月7日に発令される前の3月23日に、突如として日本では法制上できない「ロックダウン(都市封鎖)」の可能性に言及したことが記憶に新しい。 
これにテレビのワイドショーが飛びつき、明日にもロックダウンとなるかのようにあおり立てた。
政府が火消しに追われたことにより、宣言発令が想定より遅れたとの指摘がある。 
菅義偉首相はもともと、今回の緊急事態宣言には消極的だった。
専門家による政府の分科会が昨年12月23日、都内の飲食店などの営業時間をさらに短縮するよう求めたことが徹底されれば、感染者(陽性反応者)拡大に一定の歯止めがかかるとみていた。 
ところが、小池氏はこれに応じようとはせず、正月休みの最中の1月2日に、埼玉、神奈川、千葉各県を巻き込み政府に緊急事態宣言の再発令を要請してきた。
自民党重鎮は言う。  
「無責任な小池さんは、知事としてやることをやらずに国に責任を押しつけた。昨年と同じだ」 
それでもテレビ番組の多くは、絵的に「映える」小池氏のパフォーマンスに焦点を当て、それに比べて後手に回った政府、菅首相は何をしているのだと批判する。
政治家が、演技力と演出力ばかりで評価されるようでは国は危うい。 
(論説委員兼政治部編集委員)

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