大屋根リングを国宝として残したかった――藤本壮介の建築、村田夏帆のヴァイオリン、空と海に託した願い
以下は、2025年9月2日に撮影した大屋根リングの写真集に寄せた、当時の文章である。
私がこの建築の真価に気づいたのは、万博が開幕して、かなり時間が経ってからだった。
もっと早く、設計と採用が決まった頃に、その意味を知り、発信していたならば――その思いは今もある。
大屋根リングを国宝として未来に残すことは、私にとって、単なる願望ではなく、日本が選ぶべき最善の策だった。
しかし、開幕以前から、閉幕後の解体・撤去を前提に、費用も段取りも決められていた。
私の提案は、その既定路線と、そこに結びついた利害――私が言うところの「解体利権」――を突き崩すには至らなかった。
決まっていたから壊すというのなら、その決定を覆してでも残すべき価値を、誰が問うのか。
あの建築は残すべきだったという確信と、気づくのが遅かった無念を込めて、本文を当時のまま掲載する。
2025/9/2
万博2025のシンボルであり、世界最大・最長の木造建築としてギネス認定された『大屋根リング』。その設計は世界最高級の藤本壮介氏、建設は竹中工務店という、まさに超弩級の天才たちが手掛けた奇跡の建築物です。
そして、その超弩級の作品を撮影したのは、これ以上ない撮影日和に最高の瞬間を切り取った、もう一人の超弩級の天才、アマチュア写真家。
この度、この写真集を彩るBGMには、日本が生んだ「世紀のヴァイオリニスト」村田夏帆氏の演奏を採用させていただきました。
超弩級の天才たちが創造した建築作品に、超弩級の天才が奏でる音楽が加わることで、この写真集は一つの完璧な芸術作品へと昇華されました。
この作品が、日本国民のみならず世界中の人々の心に響くことを願っています。
ぜひ、この感動を体感してください。
「今を生きる空海」と、何度か、「文明のターンテーブル」に書いてきた私が、彼の発想に呼応して、この写真集が生まれた事に気づいた。
9/2,私は、ただひたすら空と海を撮りに行った。
そう、今を生きる空海として。
この大リングを国宝として残せないとすれば、残せない人間達は、800年前後に生きた空海に遥かに劣る、所謂、戦後人間にしか過ぎないと言う事なのだろう。
空海が持っていた哲学、国家感の一かけらも持っていない日本人たちなのだろう。
これ以上、情けない事があるだろうか?
維持経費云々と言っている者がいるらしい。
彼らは、毎年、日本が、大した役に立っていないにも拘わらず、諸外国に対して、数兆円、数十兆円の天文学的な援助金を支出している事を知っているのか?
日本は、そのような愚かな事は、もう止めて、国内のインフラ(大屋根リングは最高のインフラである)に、お金を使わなければならないのだ、と、「今を生きる空海」は、世界に響く大音声で言う。