かつて毛沢東主席が北方領土の返還要求に「原則的に賛成だ」と語ったのを中国首脳はご存じか。

2010-11-10
以下は、この日の朝日新聞のコラムからである。
北方領土の軍備を増強するソ連が色丹島にも軍を駐留させたと聞いて、朝日新聞の小型ジェット機で北上したのは1979年9月のことだった。
いよいよ色丹島に近づいて南の上空から目をこらすと、北の沿岸部で糸のような筋が数本光っている。
あれはテントの列ではないか。
確かめようと旋回して高度を下げ始めた時、根室の自衛隊から警告がきた。
「ソ連の戦闘機が近づいている」
肉眼では見えなかったが、操縦席のレーダーもソ連機をとらえた。
向こうの主張する領空には入っていないのだが、こうなれば逃げるしかない。
おかげで同行のカメラマンは特ダネ写真を撮り損なった。
米ソ冷戦が厳しかった時代の秘話だが、こんなことを思い出したのは外でもない、ロシアのメドべージェフ大統領が国後島を視察に訪れたからである。
折しも日中の間には尖閣諸島で事件が起きていた。
そこにロシアの参入。
しかも中ロの首脳は9月末に「第2次大戦終結65年記念」の共同声明を出す蜜月ぶりを見せたとあって、日本としても気になるところだ。
あたかも挟み撃ちにあった形だが、かつて毛沢東主席が北方領土の返還要求に「原則的に賛成だ」と語ったのを中国首脳はご存じか。
64年7月、社会党の訪中視察団(佐々木更三団長)と会った際のことである。
毛発言について「千島列島全体が日本の領土だと言った。だからソ連が怒った」と回想したのは、72年9月に北京で田中角栄首相と会談した周恩来首相。
「四つの島を取り返すのは大変だ」「日本の困難に同情する」などとも述べていた。
とはいえ、これは中ソが対立し、国境で中ソも領土争いをしていたころの話。
その紛争も2004年に係争地を半々に分け合って片づけた。
そんな中国首脳部には、もはや日本への「同情」はないのだろう。

北方四島と尖閣諸島。
韓国では「日本は二つの領土戦争中」(中央日報)などと報じているが、もう一つお忘れではありませんか。
「三つの」と書かないのは、自国が占拠する竹島(独島)に「領土問題はない」という建前からだろう。
後略。

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