日本も監視下に置かれる――中国の海外監視網と越境弾圧を語る四人の証言

2022-11-30
以下は、2022年11月25日発売の月刊『WiLL』2023年1月号に、呪い殺したい 習近平独裁!と題して掲載された、阿古智子 東京大学教授、 譚璐美 作家、 楊 逸 作家、 劉燕子 中国文学者の4人による対談特集からである。
何度も言及するようにWiLLとHanadaは、本物の論文が満載されていながら980円!なのである。
今、世界最高の月刊誌であると言っても全く過言ではない。
本稿は日本国民のみならず世界中の人達が必読。
老若男女、わけても若い人たち全員が必読である。
今、中国で起きている現象を既にして予感させていた箇所もある。
見出し以外の文中強調は私。

日本も監視下に置かれる
劉 
ナチスドイツの全体主義は12年、ソビエトの共産主義政権は70年で終わりましたけど、中国の場合は共産党の体質が変わらない限り、永久的に犠牲者が増えつづけてしまいます。
恐ろしいのは、中国の監視の魔の手が世界中に伸びていることです。
いま、私たちは日本の安全な場所で議論していますけど、いつまでも日本が安全だとは限りません。
最近では中国監視カメラ大手の「ダーファ・テクノロジー」が日本に初上陸しましたが、安価という理由で警察や民間のセキュリティ会社がそのカメラを使えば、私たちの顔情報や位置情報は中国側にダダ漏れ。
日本も中国の監視下に置かれてしまうわけです。
楊 
それだけではありません。
国際的な人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」によると、中国はオランダに非公式な「警察組織」を設置しているとのこと。
スペイン、カナダ、スウェーデン…こうした「警察組織」は世界中に広がっています。
譚 
その「警察組織」というか、水面下で政治活動をする「公安機関」は日本にもあります……。
あまりニユースにはなっていませんが、中国政府は「キツネ狩り」などと称して、反体制派の中国人やチベット、モンゴル出身者を脅迫・誘拐したり、言葉巧みに誘って「犯罪人引き渡し条約」のある第三国へ連れ出して監禁し、本国に連行するケースが多発している。 
前述の人権団体は、過去2年間で強制的に帰国させられた人は約2500人にのぼり、2014年からの8年間では10000人にのぼっていると報告しています。
また、2016~2019年の問に海外で逮捕された台湾人600人以上が、台湾ではなく中国に強制送還されたとも報告しています。
とくにアフリカやアジアの国のなかには、中国政府の財政支援と引き換えに、中国政府の意向を尊重して強制送還に応じる国が多いのです。
楊 
台湾の法律だと懲役10年で済むところを、中国の法律で裁かれたことで無期懲役になったり、死刑になったりしているわけです。
これもレッキとした人権問題ですよ。
譚 
幸いにも、日本は中国と「犯罪人引き渡し条約」を結んでいませんが、日本政府はトラブルを嫌がって自主的に引き渡して、「早期解決した」とみなしてしまうケースがありますね。
劉 
日中青年交流協会理事長の鈴木英司氏は、スパイ行為をしたとして中国当局に約6年間拘束され2020年10月11日、刑期を終えて帰国しました。
彼は毎日新聞のインタビューに応え、「(最初の)7ヵ月で太陽を見たのは15分ほどだった」と証言しています。
阿古 
彼は「ここまでなら話してもいい」という誓約書を中国政府と結んだうえで発言していますから、もっとひどい仕打ちをされたに違いありません。
私は過去に3回、中国で拘束されたことがありますが、机を叩いて尋問され、一晩留置され、研究プロジェクトについて根掘り葉掘り聞かれました。
譚 
外国人には遠慮しているといいますが、そうはいっても過酷な仕打ちを受けます。
外務省の発表では2015年5月以降、日本人16人が中国当局に拘束され、10人が起訴されました。
そのうち9人は懲役3~15年の実刑判決が確定しています。
いまも4人が服役中で、1人が服役中に亡くなっています。
阿古 
監視や拘束は中国人だけの問題ではないのですから、日本人はもっと警戒心をもつべきです。
譚 
すでに中国は「違法な外国人は中国の法で処罰する」と主張しています。
今後は日本から日本人を誘拐して連れ去るとか、中国旅行に招待して拘束するといった事例も発生しかねません。
この稿続く。

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