理念なき日本は何もできない――人権と民主主義を外交・経済政策に貫く覚悟を問う
2022-11-30
以下は、2022年11月25日発売の月刊『WiLL』2023年1月号に、呪い殺したい 習近平独裁!と題して掲載された、阿古智子 東京大学教授、 譚璐美 作家、 楊 逸 作家、 劉燕子 中国文学者の4人による対談特集からである。
何度も言及するようにWiLLとHanadaは、本物の論文が満載されていながら980円!なのである。
今、世界最高の月刊誌であると言っても全く過言ではない。
本稿は日本国民のみならず世界中の人達が必読。
老若男女、わけても若い人たち全員が必読である。
今、中国で起きている現象を既にして予感させていた箇所もある。
見出し以外の文中強調は私。
理念なき日本は何もできない
阿古
恐縮ですが、私には小さなことしかできません。
だから、いろいろな方たちと一緒になってやっていきたいと思っています。
先日、私は台湾に4日間行き、「民主主義への世界のムーブメント」に参加してきました。
この会合は、世界中から活動家、ジャーナリスト、弁護士、学者などが参加して人権侵害や権力乱用の実態を分析し、差別や不正義に立ち向かい、自由と民主主義を発展させるための戦略を議論する場です。
今回の主要なテーマは「中ロなどが中心に展開するデジタル権威主義にどう対抗するか」でした。
とくにいま、ロシアがウクライナに対してフェイクを流している状況で、やはり民主主義国家が団結しなければならないと改めて実感しました。
中口のように自分たちに都合のいいナラティブ(物語)を発信する権威主義国に対して、われわれ民主主義国家はどうカウンターナラティブをつくれるか。
その戦略をつくるには、教育現場やメディア、シンクタンクなどのさまざまな団体で具体的に議論する必要があります。
しかし現状、日本は米国や英国に任せっきりで、白分たちが何を大事にするかという理念が非常に曖昧です。
譚
まったく同感です。
いま、北朝鮮からのミサイル発射が相次いでいますが、日本は「警戒感をもって監視する」ばかりで、毅然とした対応ができていません。
ただ見ているだけでは意味がない。
しっかりとした理念と決断力がなければ、具体的なアクションは起こせません。
阿古
ウイグルや香港などの人権問題に関しても、日本はガイドラインや決議を出しただけで、法律や政策に具体的なものはない。
近年、経済安全保障という概念がいわれていますが、理念がしっかりしていなければ経済優先になってしまい、人権問題に何の影響も与えることはできないでしょう。
人権を中心にすると、必ず企業側が損する部分がありますが、それを覚悟で人権問題に対処するには、やはりしっかりとした理念が必要です。
短期的にはデメリットが大きくても、長期的に見たら中国のような巨大な権威主義国家を育てるデメリットのほうがはるかに大きい。
天安門事件の後、日本は人権を無視して中国と付き合ってしまい、中国は今日のような権威主義国家に成長してしまった。
それをしっかりと反省しなければなりません。
この稿続く。