どんどん真っ当に成って行く日経新聞シリーズ② ― 外交停滞打破には首相早期退陣を

どんどん、真っ当に成って行く日経新聞シリーズ②…今日の社説から。
2011年07月31日
外交の停滞にも早く終止符を

文中黒字化と拡大は芥川

内政の混迷が外交の停滞につなかっている。菅直人首相が退陣の時期を明確にしないまま、なお政権にとどまっている影響は小さくない。

外交は首脳間の信頼関係があってこそ大きな成果を出せる。いま菅首相が重要な提案を持ちかけても、他国は真剣には受け止めないだろう。

日米両政府は当初、9月上旬に菅首相が訪米して日米同盟の深化をうたう共同文書を採択する手はずだった。だが、退陣を迫られている首相が同盟深化を呼びかけても、十分な重みを持ち得ない。菅氏は次の首相にそうした役割を委ねるべきだ。

9月下旬にはニューヨークで国連総会が開かれる。東日本大震災で世界中から支援を受けた日本があらためて謝意を表すとともに、復興への決意を示す機会になる。福島第1原子力発電所の事故を踏まえたエネルギー政策についても、国際社会に説明しなければならない。

そうした演説も、次の内閣を率いる新しい首相がすべきだろう。

それ以外にも大切な外交行事が目白押しだ。11月には20力国・地域(G20)首脳会議(サミット)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などが控えている。

年内には首相の訪中も想定される。

首脳外交で成果を上げるには入念な事前調整が要る。だが、次の首相の方針が分からないと、外務省や関係省庁は本格的に動けない。諸外国の政府は、対日外交で日本の首相交代待ちの空気を強めている。

外交の停滞から早く脱するためにも、菅首相の早期退陣が望ましい。ましてや、延命につなげるため、外交で得点を稼ごうとするような行動は厳に慎むべきだ。特に主権が絡むロシアとの北方領土交渉や、日本人拉致問題をめぐる北朝鮮との協議には、慎重を期さなければならない。

次期首相が選ばれても、直ちに内政が安定する保証はない。外交のさらなる停滞を最小限に抑えるため、実務レベルでの交渉や協力を着実に積み上げてほしい。とりわけ、同盟国である米国との協力が大切だ。

6月の日米安全保障協議委員会 (2プラス2)で合意した防衛協力の多くは、実務レベルで進められる。政局に左右されず、その作業を淡々と進めることが肝要である。

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