2011/7/30…民放の動物番組の下世話な演出に心底ウンザリ ― 青木るえか

民放の動物番組の下世話な演出に心底ウンザリ 青木るえか…週刊文春8/4から
2011年07月30日
民放の動物番組の下世話な演出に心底ウンザリ

今、純粋な動物番組ってNHKでしかやらない。昔は民放でも『野生の王国』や『木曜スベシャル・サバンナの奇跡百獣の王愛の生活(適当につけたタイトルです)』みたいな、タレント混入の余地のない番組も多かったのに。あれは海外のフィルムを買ってきてそのまま流してたからか。

ちゃんとした動物番組というものは、映像に金をかけ(NHKの動物番組など、「世界初の映像」を動物がカメラ目線送ってくるほど迫って撮ってきたりする)、美しい音楽を流し、練りに練られたナレーションが流れる。

民放の動物バラエティは本当に安い。この安さというのが、人件費や制作費の問題ではなく、貧すれば鈍する感じ。この『スパモク!!「いきものがたり」』もとにかく安い。

動物の泣かせる実話を再現映像(実写もちょびっと)で並べました! さあお泣きください! と耳元でがなられているような番組。どうしてこう安いんだろうなと考えてみると、「ぐヘヘヘ、ここが可哀相でしょう、ひどいでしょう、でも最後には感動できまっせ、さあさあさあ」と詰め寄るように作ってあるからだ。

別の言い方をすると「聞く気も無い人にもわかってもらえるような大ゲサな大声で、聞く気もない人にも理解可能なように、話を単純化してそれをくどいほどわかりやすく説明的に表現する」からだ。バナナの皮ですべって転ぶマンガは今どき古いが、そのバナナの皮の絵に「注目!」とか矢印で書いてあるようなもんである。

その「注目!」矢印が、スタジオの夕レントによる「え~つ」「ひどい~!」「うそ~」「……(涙をふく)」で、実話だから自信満々で、おまけに扱うモノが動物なもんだから、人間よりも遠慮がなく、死にかかった場面なども撮るし。この「押し売りがげへへと笑いながら玄関ドアの隙間に靴つっこんで侵入してくるような」感じがえらい下世話なのだ。

…後略。

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