2011/7/30…新聞・TVが報じない「国家の危機」 ― 円高・株安と菅政権の失望相場

新聞・TVがまったく報じない「国家の危機」…週刊文春8/4号から。
2011年07月30日

…前略

こんな円高は考えられない

消費の剥落に加え、円高も株価下落のリスク要因だ。

六月の日銀短観によれば、大企業製造業の今期の想定為替レートは1ドル八十二円五十九銭。これに対
し現在の為替はIドル七十八円台、一ユーロ百十二円台で推移している。

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏はドル安が「秋口から年末にかけて七十五円まで進行する」と予想。

欧米での売上比率が高い自転車部品や釣具のシマノの島野容三社長はこう言ってため息をつく。
「今の日本の経済状況を見れば、こんな円高は本来考えられない。海外で生産しても本社は日本なので、円換算する際に収益は目減りする。競争力を考えると非常に厳しい」

米投資顧問ホリコキャピタルの堀古英司代表が語る。
「本来、大統領選前である今年と来年が、米国では一番株が上がりやすいといわれるが、今のオバマは去年の中間選挙で議席を取られてしまい、有効な経済対策を打てない状態。また、世界中で米国債の格付を実質的にトリプルAだと妄信して購入している投資家は多いので、実際にダブルAに引き下げられれば、やはりドル安は進行するでしょう」

しかし、日本の市場で最も大きな下落リスクとみられているのは、円高ではない。

市場関係者が語る。
「鳩山前首相の退陣表明翌日、株価は約三%上昇しました。今は菅首相が辞めるという期待感が相場を下支えしている。仮に九月以降も居座り続ければ、失望売りとなるでしょう。

野党との政策協議ができないから、成長戦略も予算も何も決められない。挙句に脱原発だけ掲げて何ら具体策を示さないので、企業は『しょうがないから海外に出るしかない』となる。首相はまるで、交差点で寝転がって交通を邪魔しているようなものなのです」

菅総理はまだ野党だった○三年、東証を訪れて「民主党が政権を取れば三年後には株価が二倍、三倍になる」と語った。だが今や市場では、本人の退陣が一番の買い材料となっている。

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