震災列島を襲う世界経済の津波に勝て ビル・エモット ニューズウィーク2011年6月8日号から。
震災列島を襲う世界経済の津波に勝て ビル・エモット ニューズウィーク2011年6月8日号から。
…前文略。
また被災地の復興を進め、電力の供給不足解消に努めるだけではなく、日本全体の民間活力を高めなければならない。
そのためには投資や起業、市場への新規参入などに対する規制を撤廃し、生産性を向上させ生産活動を活発化させる必要がある。
サービス部門強化の効用 そのためには2つの大きな課題がある。
まずは、サービス産業の技術革新や競争を阻んでいる規制をなくすこと。メディア、広告、流通、医療、教育といった分野が対象となる。独占禁止法をもっと積極的に活用し、広告業界に見られるような独占的企業の存在にあらためて注意を向けるべきだ。
起業しやすい環境もつくらなければならない。
世界銀行による起業しやすい国ランキングで、日本は183力国中98位だった。
日本の弱点は、輸出と企業投資が製造業にかなり偏っていること。
製造業が悪いわけではないが、成熟した経済大国としては十分とは言えない。
金融危機後の09年に明らかだったように、工業製品の需要は不安定だ。
サービス部門を強化すれば経済全体の力も増し、多くの雇用が生まれる。
第2の課題は、製造業とサービス産業の労働改革だ。
橋本、小泉両政権で導入された二重の労働システムは、低賃金で不安定な非正規雇用を増やしただけで正規雇用は増えなかったため、格差だけが拡大した。
必要なのは雇用の柔軟性と保障が結び付いた労働法だ。
既にデンマークやスウエ-デンなどの北欧諸国では実施されている。
いま私たちを取り巻く世界は危険で不安定だ。
日本は変化する市場と技術に適応し続けられるよう、もっと力を蓄えて社会格差を縮小する必要がある。
そのためにも、復興と同時に改革を早急に推し進めるべきだ。